北海道大学病院では毎年12月5日を「医療安全の日」とし、厚生労働省が定めた「医療安全推進週間(毎年11月25日を含む前後一週間)」と合わせて、医療安全の啓発を行う活動を行っています。
今年の医療安全推進週間では川柳を使った展示が企画され、いいね!Hokudaiでは「川柳で 医療安全を 伝えたい」の記事で取り上げました。加えて、展示をプロデュースした南須原康行さん(医療安全管理部 部長/ゼネラルリスクマネジャー/教授/医師)にインタビュー取材を行い、「北海道大学病院の医療安全を支えて13年 ~医療安全管理部のミッションに迫る~」と題した記事で紹介しました。
去る12月5日「医療安全の日」には、優れた川柳の表彰式と外部講師を招いた講演会が催されました。今回の記事では特に表彰式の様子についてお届けします。
川柳の展示を行うにあたり、医療安全に関する81の作品が北大病院職員から寄せられました。今回の展示ではご覧になった方々に、医療安全について参加意識をもって考えてもらいたいという思いから、川柳に対して投票を募り、優秀な作品を選出する試みが行われました。集計の結果、195もの票が幅広い年代から集まったことがわかりました。以下は表彰を受けた優秀作品の紹介です。
金賞「対応で 不安が怒りに 変わるとき」
6・7-1ナースステーション 三佐川清美さん(看護師長)
三佐川清美さんの言葉
-ありがとうございます。意外とこういうふうに思っていらっしゃる方がいるのではないかと日頃から実感していました。こちらがそういうつもりではなくても、相手によっては別の意味で取られたりすることがあります。患者さんの不安な気持ちに寄り添うことが医療の原点だと考えて、あらためて心に刻んでがんばっていきたいと思います。
特別賞「「わからない」言っていいのか わからない」
医療安全管理部 佐久間有希さん(医療支援課 医療安全係)
佐久間有希さんの言葉
-自分が患者として診察を受けた時に、医師の先生や看護師さんに尋ねてもいいのかな、話の腰を折ってしまうんじゃないかなという迷いがあって、その気持ちを川柳にしてみました。責任ある役割を負っている方、周囲からいろいろ聞かれる立場の方であっても、時にはわからないことがあるのではないでしょうか。そういう葛藤が誰にとってもあるということで、共感を得られたのではないかと思います。ありがとうございました。
銀賞「のみぐすり 増えていくのは のみ忘れ」
薬剤部 西村紗綾(薬剤師)
西村紗綾さんの言葉
-このたびはありがとうございます。ポリファーマシーという言葉があります。患者さんに対して、医薬品を必要以上に出している状態のことをいいます。多くのお薬が出されて、患者さんのお宅に溜まっていって、飲み忘れや飲み間違えが増えていけば、医療安全の面で問題になるのではないかと思います。薬剤師としてそういったリスクを減らすことができたらいいなと考えて、この句を作りました。
銅賞「事故予防 皆で確認 『そだねーと』」
検査・輸血部 福元達也さん(臨床検査技師)
福元達也さんの言葉
-このような賞をいただき、誠にありがとうございます。検査・輸血部ではチーム医療を大切にして、みんなで確認しながらがんばっています。これからもどうぞよろしくお願いします。
銅賞「急変の チーム連携 日々訓練」
ICUナースセンター 岩本満美(看護師長)
岩本満美さんの言葉
-このような栄えある賞をいただきまして、誠に感謝しています。ICUナースセンターでは急変時対応シミュレーションを年間7、8回行っています。チーム連携という点では、医師・看護師・薬剤師らとカンファレンスしながら、患者さんに安全な医療を提供できるようにがんばっています。ありがとうございました。
表彰式の最後に、寳金清博病院長は「川柳の取り組みは去年からはじめて、今回で2回目となります。表彰を受けた以外の句もとてもよくできていたと思います。医療安全を切り口にして、病院職員の本音が表現されていて、すばらしいですね。私は20年ほど前から医療安全に関わっていますが、現在はカルチャーとして定着してきており、すごく進歩したと思います。川柳の展示は全員参加で本当によい試みですね」とお話になり、式を締め括りました。
(表彰式にはたくさんの北大病院職員が集まりました)
番外編
いいね!Hokudaiで医療安全推進週間の取り組みを「川柳で 医療安全を 伝えたい」で取り上げたところ、川柳の展示スペースや表彰式で記事を紹介していただきました。医療安全管理部のみなさん、丁寧に対応してくださり誠にありがとうございました。そして、本当におつかれさまでした!