文学部出身の蝦名未希子さん(現在、株式会社WEBサクセス取締役)の、「コミュニケーション下手な方に贈る「自分の強みの見つけ方」」と題した、学部1年生向けの授業。その一部を紹介します。
ウエブマーケティングは、楽しい
「WEBサクセス」という会社は、企業がウエブサイトを使って集客するのをお手伝いすることを業務としています。ウエブサイトの内容をどのようなものにしたらよいか、デザインやキャッチコピーはどうすると効果的か、Facebookのような新しいソーシャルメディアをどう活用するかなど、さまざまな提案をします。ウエブサイトを作って終わりにはしません。
こんなウエブサイトが効果的だと仮説を立て、それを公開した後、サイト訪問者の反応を見ては、変更を加えていきます。ウエブサイトは、お客さんの反応がすぐにわかる、とても強力なマーケティング・ツールなのです。結果がすぐに、はっきり数値として出てくるので、とてもやりがいのある、楽しい仕事です。
ウエブってすごい、と思ったのは、テクニカルライターとしてマニュアル作成の仕事をしていた、2004年のことです。「テクニカルライターの部屋」というブログで、マニュアル作成のノウハウについて書き始めました。するとある日、なんと大手通信企業からいきなり電話がかかってきて、「マニュアル作成の講習会をやってくれませんか」と言われたのです。何の面識もないのに、ですよ。
ブログへのアクセス数を増やすために、いろいろ工夫もしました。話題を絞り込むほど、読む人がついてくることがわかり、ごく狭い範囲のノウハウを公開するようにしました。ブログ自体がまだ珍しかった時代ですし、ましてやビジネスでブログを書く人はほとんどいませんでした。世の中が動く前に参入して、ニッチなところに集中するのが成功の秘訣だと、身をもって体験しました。それやこれやの経験をもとに、2007年に今の会社「WEBサクセス」を立ち上げたのです。
大切なのは、強みを見つけること
ウエブサイトを制作するにあたっては、その会社なり大学なりの、いいところ、強みを見つけて紹介するようにします。では、ウエブサイトを作りたいと相談に来たお客さん(クライアント)の強み、いいところを、どうやって見つけるか。
一番いいのは、そのクライアントが相手としている人たちの声を聞くことです。自社の技術力に強い自信を持っている会社がありました。ウエブサイトでは、技術力を前面に出してアピールしていました。ところが、です。その会社の取引先にアンケートをとってみると、技術力を評価する声はほとんどなく、「困ったとき相談に乗ってくれるサービス」を高く評価していました。さっそくウエブサイトを作り替えたことは言うまでもありません。業績も、大きくアップしました。
皆さんも、自分の強みを見つけてアピールしていく必要があります。自分の強みを見つけるには、友だちなど他の人の意見を聞くのがいいと思います。そんなの恥ずかしいという人は、家族で、お互いを褒めあうことをやってみるのもいいでしょう。そして人から褒められたら、自信を持つことが大切です。ときには、自己暗示になってもいいので。
私自身は、自分の強みを、勉強するのが苦手でないことだと思っています。いま若い人たちに話題の、無料通話・無料メールのLineも使うし、Facebookもやっちゃう。新しいものを貪欲に吸収しています。
若いうちは「私なんてまだまだ」と後ろに下がりがちですが、失敗しても命を取られるわけじゃないのです。自分を正当に評価して、積極的に取り組んでください。もちろん、相手のことを考えることも大事。「想像力と愛」を忘れずに。
コミュニケーションは難しい、けれど
私は、仕事などで「さっそく何々をやりましょう」と提案されると、よしやろう、という気になります。でも、「これこれの課題ががあって、その背景には・・・」などと、一から順序立てて説明されると、「早く結論を言ってよ」とイライラします。私はそういうタイプなのです。
世の中には、いろんなタイプの人がいます。ですから、相手のタイプを見極めて、そのタイプの人を動かすような言葉がけをすると、うまくものごとが進みます。同じことを言うにしても、相手を不機嫌にさせない言い方も大切です。相手をプロファイリングして話しかけるのです。いろいろなプロファイリングの技法がありますので、興味がある人は調べてみてください。
なぜ、こんなことを言うかというと、私自身、大学1年生の時に聞いておきたかったなあ、と思うからです。同じ年に生まれた子供の数が少なかったこともあって、進学や就職であまり苦労しなかったのですが、社会に出てからは、コミュニケーションのことを知っていたらと、つくづく思いました。