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#97 落ちつける「もうひとつの部屋」@Cafe Dolphin

「Cafe Dolphin your second room since 1967」と看板を掲げる喫茶店があります。環状通りのすぐそば、北14条東4丁目にあるマンションの1階にお店を構えるカフェドルフィンです。現在は札幌キャンパスから1kmほど離れたこの場所にありますが、1967年から2002年までは、正門すぐ横の北8西5にお店がありました。そして6月13・14日のお別れ会を最後に、東区の別の場所に再び移転するとのことで、いいね取材班は北大と縁の深いカフェドルフィンに向かいました。

【川本思心・CoSTEP/理学研究院 准教授】

(新型コロナ対策のため、4月23日から5月8日までは臨時休業をしていました。そのお知らせの際、カフェドルフィンのFacebookページには「今まで経験したこともない、この異様な状況を1日も早く終わらせる為にも…今はyour first roomで…」とメッセージが掲載されていました)
明るくひろびろとしたお店

お店は59坪。机の間隔は広く、調度品の色調も明るめで、ゆったりやさしい雰囲気が漂っています。窓際にはコンセントがついたカウンター席もあります。また、奥には小上がりもあり、さまざまなお客さんがくつろげるようになっています。

(店内。手前中央は作家さんによる雑貨が置かれています。奥ではカフェドルフィンで使っていた食器などを販売する蚤の市が開かれていました)

メニューにはコーヒーはもちろん、ケーキも豊富です。ランチメニューはサラダと飲み物がセットでA、B、Cの三種類から選べます。取材班は迷った末、Bランチとカボチャのケーキをたのみました。

(この週のBランチは白身魚の甘酢あんかけでした。おいしい!)

コーヒーを頂きながら、現オーナーの須戸睦子さんにお話を伺いました。

昔のお店のことを教えていただけますか

最初のお店は北8西5にありました。今だとセイコーマートがある角の場所です。ビルの1階にある10坪の小さなお店でした。父(須戸良則さん)にはお店を持ちたいという夢があり、小樽の喫茶店で住み込みで修行をして、母(美智子さん)とふたりで開店しました。

(喫茶ドルフィンが開店した頃の北大正門。市電のレールと架線が見えます。1967年4月撮影)〈北海道大学大学文書館所蔵〉

お店の名前の由来は、言葉のひびき、言いやすさだったそうです。最初はお店が小さいこともあって、そういう意味の言葉もいろいろ考えていたそうです。でもやっぱりお洒落だけど読めない、言えない名前よりも、口に出しやすい、覚えやすいのがいいですよね。結局は「ドルフィン」で正解だったのかなと思います。

(当時の看板は今も玄関に飾られています。ちなみに当時は「Cafe」ではなく「TEA ROOM」「喫茶」でした)
ご近所なので、北大の人々も訪れていたかと思います

当時はうちの他にも、正門から東に伸びる通りに喫茶店がありました。時館さん、珈琲野郎さん・・・ 北大の先生はよく来てくださいました。皆さんえらぶらないやさしい方ばかりで。昔から来ていただいていた先生方と今のお店で撮った写真も飾らせていただいています。アルバイトでは北大や天使大の学生さんもいました。

(店内に飾られた写真。久田光彦 名誉教授(理学部生物学科。専門は神経行動学。1929年生まれ・1993年退職)。故 田部浩三 名誉教授(理学部化学科。専門は触媒化学。1926年生まれ・1990年退職・2018年没)。鈴木章 名誉教授(理学部・工学部。専門は触媒化学。1930年生まれ・1994年退職)。2013年4月29日撮影)

実は私は北大育ちなんです。北大の中にある幼児園(2010年に閉園)に通っていました。子どものときはよくわかっていませんでしたが、あらためて美しい環境だなと思います。こういうところで勉強できるなんですばらしいですよね。今でも時々銀杏並木を見に行ったりしています。

(現オーナーの須戸睦子さん(右)。初代でお母様の美智子さん(左)もたまたまお店にいらっしゃいました)
どうして現在の場所に移ったのでしょう?

2002年に北大前の通りが拡張されるときに、建物が建て替えられることになりました。「建て替え後もまたやらないですか」と声をかけていただきましたが、今の場所からも声がかかり、移転することにしました。

でも、これまでの小さなお店とちがって、大きなお店はやり方が全部ちがって大変でした。両親もすでに高齢ということもあり、閉店も考えたのですが、「やらないか」と言われて2004年に私が引きつぐことになりました。実はそれまでも私は「お店をつぎたい」と言っていたのですが、「大学を出て、社会に出てから」と言われて断られていました。なので大学を出たあとは会社勤めもして、当時は別のカフェで働いていました。

子どもの頃からドルフィンを見ていると、時代の移り変わりを感じますか

まず喫茶店の役割が変わりましたね。昔は携帯電話も無かったので、喫茶店は待ちあわせの場所でしたよね。あとはマンガを読みにきたり、タバコをすったり。メニューもコーヒーとトーストだけとか。変わってきたのは平成くらいからでしょうか。「カフェめし」を売りにしたり、自家製ケーキを出すお店が増えてきました。そもそも「カフェ」という言葉も昔は使わなかったですよね。

うちのお店でもやはり同じ頃、30年くらい前にケーキをだすことになりました。当時私は学生でしたが、母に3~4種提案して一緒につくっていきました。それが今でも出している「カボチャのケーキ」です。要するにプディングなのですが、あえて名前をやぼったくしたくて「カボチャのケーキ」としました。

(カボチャの甘みと滑らかな舌触り。そのあとのコーヒーがまた格別です)

長くやっているとありがたいなということもあります。ふらっとお店に入った方が、なんとなくカボチャのケーキをたべて「・・・あれっこの味は?」と思って、店内をみまわしてみたら「Cafe Dolphin」と書いてあって「あ!ここドルフィンだったんだ」と気づいてくださったことがありました。移転していることも知らず、もう無いと思っていたお店にたまたま入って、ケーキの味で気づいてくれたんです。

変わらないものの大切さを感じます

レジは昔から使っていたものです。前のお店の時ですが、ある朝、お店にいってみると道路にレジが投げ捨てられていました。泥棒が入って中のお金をとっていったんですね。そのせいか、年月のせいかわかりませんが、トレーはうまく閉まりません。計算は電卓でやっています(笑)。ピンクの電話も前のお店からあるものです。捨てられないですね。新しいお店にも持って行きます。ぜひいらしてくださいね。

(電力を必要としない電話のため、胆振東部地震による停電のときにも活躍したとのこと) 

カフェドルフィンの移転は2月2日に発表されており、新型コロナのためというわけではありません。新しいお店は原点回帰をして、最初の小さなお店のような雰囲気になるそうです。今のお店の通常営業は12日までで、13日と14日は下記の通りお別れの会が開催されます。

53年間ありがとうの会

日時: 2020年6月13日(土)・14日(日)11:00~17:00
場所: 札幌市東区北14条東4丁目1-1(スーパーアークス光星店東向かい)
備考: 密を避けるため、ご来店の際は事前連絡の御協力をお願いいたします
詳細は【こちら】

(メッセージボード兼顔はめ看板もありました)

Information

Update

2020.06.10

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