想像もできなかった世の中に変化した2020年。移動が制限される中、独自の方法でつながりを試す動きが増えました。隣の国、韓国に2011年に開設された北海道大学韓国ソウルオフィスは、今年の春からSNSをはじめて、ソウルでの情報発信を心かけています。今回はzoomを通して、川野辺創所長と金眞子さんに、ソウルオフィスの現状と今後について話を聞きました。
(ソウルオフィスの看板)
学生と研究者をサポートする、ハブを目指す
2021年に開設10年を迎えるソウルオフィス。ソウルを南北に分ける川の南の方のオフィス街、カンナム駅近くに位置しています。主な役割の一つ目が学生の相談業務、二つ目が研究者の共同研究のサポートです。特に北大の入学を目指す学生の相談が、年に100件にのぼるほど、北大に対する相談窓口の役割を果たしています。オフィスで直接相談をする場合もありますが、留学博覧会にブースをつくり、そこで相談を受けることもあるとのことです。研究者のサポートとしては、共同研究の推進やシンポジウム、セミナーに関するコーディネーションを担当し、年に2~3件の共同研究が行われているとのことです。
(川野辺創ソウルオフィス所長。ソウルオフィスの役割と今後の可能性を語っています)
川野辺創ソウルオフィス所長は、ソウルオフィスの魅力として、韓国の学生が日本に、北大に興味を持ってもらえることと同時に、北大生が韓国について興味を持つきっかけになれることをあげました。
北大の情報を韓国語で伝えること
学生や研究者をサポートしながら、北大に関する良質な情報を発信する必要性を感じているところで、COVID-19の流行がありました。オンラインで北大の各部署が発信している内容を、韓国語ユーザーに届けるため、facebook、twitter、instagramのSNSをそれぞれ開設し、現在運営しています。
(ソウルオフィスの金さん。SNS運営も意欲的に取り組んでいます)
運営は金さんが担当しています。主に北大のホームページやオフィシャルSNS(日本語・英語)、いいね!北大などで発信する情報の中、特に北大に興味を持ってもらえそうな内容を選別して載せています。日々の学生・研究者の暮らしや、キャンパスの自然、研究成果、採用情報まで、その内容は様々です。日本語や英語で発信されるチャンネルが多い中、韓国語で紹介することでより親しみを持ってもらえることを目指しているとのことです。
(ソウルオフィスが運営しているinstagram)
今後はより主体的な記事作成を目指して動いてみたいと金さんは言います。特に、ソウルオフィスで相談を受けて北大に進学した学生の話や、留学を経て韓国に帰って活動しているOB/OGの話を発信できると、ソウルオフィスの特徴が見える独自のコンテンツが出来上がると考えているそうです。ただし、SNS 運営についてはフォロワーを集めることの大変さは痛感していて、実際の交流につながるハブの役割を目指して、一歩ずつできることを進めていければと思っていると語りました。
コロナの時代、つながりを目指して
COVID-19で激変した世の中、留学に対する懸念や、活発な交流の壁になるような移動制限など、その影響はソウルオフィスにも大きくありました。しかし今であるこそ、北大と韓国、進んでお互いの国をつなぐ役割をオンラインで果たせる機会にもとらえられます。
今までも、オフィス運営の難しさはありました。ビデオ会議システムの不慣れなところ、北大ソウルオフィスにリーチできない学生に情報が届かないことは特に難しく感じていたところでした。ただオンラインコミュニケーションになれるようになった今だと、韓国の各地方にいる学生へ情報発信ができることや、物理的に離れている研究者同士のオンラインを通じた交流ができるようになりました。今後、今までとはまた違う形で、様々な交流が生まれることを期待しています。
今後は、北大の情報を韓国に伝えるだけでなく、日本国内に韓国に対する広報をすることも目指したいとのことです。北大と韓国をつないでいる大きな枠組みが、毎年開催されているソウル大学と北大とのジョイントシンポジウムです。毎年交互にキャンパスに訪問し、多方面で学術交流を行うこのシンポジウムは、1998年から今まで続いています。第23回になる今年は11月5~6日の両日間、オンラインで開催されます。
(2018年に開催されたソウル大-北大 ジョイントシンポジウムのパンプレット。記事はこちらから)
学術交流だけでなく、より親しみやすい交流も必要だと言われています。現在行われているフィンランドデーのように、大学交流デーのイベントが企画できたりすることも夢見ていると、川野辺所長は言います。
韓国人留学生は北大の留学生の中で中国に続き2番目に多く、令和元年11月1日には=6.7%(167/2477人)、2020年の5月1日には6.1%(128/2093人)を占めています。お互いの情報を発信する、北大と韓国の架け橋であるソウルオフィス。今後の動きも楽しみです。