北大理学部生物出身の柳町隆造さん(ハワイ大学名誉教授・94歳)が世界的な賞である京都賞(先端技術部門)を受賞しました。受賞タイトルは「受精メカニズムの解明と顕微授精技術確立への貢献」です。柳町さんは哺乳類の人工授精技術を開拓し、その後の基礎生物学や不妊治療に極めて大きな貢献をしました。
柳町さんと同じく北大理学部出身で、発生生物学が専門の栃内新さん(元北大理学研究院生物学部門 教授)にコメントをいただきました。
「私が大学院生となり、当時は教養部にあった動物発生学研究室に配属された1973年には、すでに柳町先生はハワイ大学の先生であり、研究室では「ハワイの柳町さん」と呼ばれていました。それにもかかわらず、研究室には「柳町さんが米国研究費で買った遠心分離機」や「柳町さんが実験に使っていた暗室」などが現役で利用されていて、なにかと言えば「柳町さんはこういうふうに実験していた」とか「柳町さんは忍路の臨海実験所で徹夜で実験していた」とか、日々聞かされ続けていたので、会ったこともない柳町さんはとても身近な大先輩だったと記憶しています。柳町さんを有名にしたマウスの受精研究も、柳町さんはご自身でウニやカエルに比べるとマウスの研究は遅れていると言いながら、次々に世界初の発見をしたり、実験を成功させたりというニュースを見聞きするたびにまだ見ぬ先輩を誇らしく思っていた記憶が、今でも鮮明によみがえってきます」
あらためて柳町さん、おめでとうございます!