もう今年も終わり。しかし今日もFSC生物生産研究農場では1日2回の搾乳が続けられている。搾乳と言っても指で握ってしぼり出すわけではなく、ミルカーという機械で吸い出し、パイプラインでタンクに集める方式だ。機械化でずいぶん楽になったとは言え、段取りが重要になる。
まず消毒液に浸したタオルで乳頭を消毒する。そして指で前しぼりをおこなう。これは乳頭に残っている前回しぼった乳に雑菌が増えてる可能性があるからだ。また異常な乳を発見し、集めたその他の健全な乳が汚染されるのを未然に防ぐと共に、乳の通りをよくする効果もある。こうしてようやく乳頭にミルカーのユニットを装着し、搾乳を始めることができる。
勢いよく搾乳している間に、次の乳牛の消毒・前しぼりをおこなう。搾乳の終わった乳牛は乳頭を消毒液の入ったカップに浸し消毒する。すべての乳牛の搾乳が終わっても今度はミルカーの清掃がある。こうした流れるような一連の作業は傍から見るとひとつの様式美にも見えるが、やってる本人たちは大変だ。
もちろん餌やりもあり、研究によって干し草や別メニューの餌を与える個体もいるので注意が必要だ。仔牛には哺乳バケツでしぼった牛乳を与える。そして当然のことながら糞掃除もある。ちなみに担当者は牛の世話以外に豚と鶏の世話もしなければならない。なぜなら中小家畜舎には牛の他に豚と鶏がいて、鳥インフルエンザの持ち込みを防ぐため、作業をするのは最小限の2名に絞っているからだ。
さて、みなさんにとってはどのような年だっただろうか。年末ギリギリまで「師走」を実感される方もいらっしゃるだろう。我らFSCの各施設も、休むことなく生き物たちの世話に追われている。そんな年末年始も頑張る技術職員に支えられているFSCとはField Science Center for Northern Biosphere, Hokkaido University、北方生物圏フィールド科学センターの略称である。
【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】