2023年、「いいね!Hokudai」は11周年を迎えました。これもひとえに私たちに関心を寄せ、取材に協力してくださる皆様のおかげかと思います。
さて、本日は今年最後の記事として、この一年の掲載記事から選んだ10大ニュースをお伝えします。選考基準は2023年1月1日から12月下旬までの「いいね!Hokudai」記事のFacebookページのリアクション数とアーカイブサイトのページビュー数の合計を元に、今年一年の出来事も考慮して、ニュース単位で決定しました。それでは10位から一緒に2023年を振り返ってみましょう!
第10位 博物館研究への長い道のり(5月)
卓彦伶さん(文学研究院 特任准教授)は博物館と市民参加の関係を研究をしています。そこに至るには様々な出来事がありました。その経緯を紹介するこの記事はダイバーシティ・インクルージョン推進本部との共同による、女性研究者のロールモデルインタビューシリーズ[FIKA]の第3弾です。2023年2月にスタートし、第9弾まで掲載してきました。シリーズは来年も続く予定です。
第9位 旧昆虫学及養蚕学教室、ワイン教育研究センターとして復活(9月)
今年9月、旧昆虫学及養蚕学教室と旧昆虫標本室が北海道大学ワイン教育研究センターとして改修・公開されました。特に旧昆虫標本室はInsecta Matsumurana(インセクタマツムラーナ)と名付けられたワインセラーとなっていて、昆虫学の基礎を築いた松村松年先生(昆虫学教室初代教授)とのつながりを感じられる場になりました。記事では、北大でのワイン研究や産業振興の中心的な役割を担うことへ、多くの人が関心を寄せることがわかる開所式の様子をお伝えしました。
第8位 海に潜むロマン、ヒラムシを追い続けて(2月)
2016年8月の記事へのアクセスが今年2月急増し、8位にランクインしました。この記事は当時理学院修士1年だった大矢佑基さんが執筆したものです。大矢さんは現在、桜美林大学で助教としてヒラムシ研究を続けており、2022年9月と11月に論文を公開していることが影響したのかもしれません。
第7位 帰ってきた時館!(2月)
1980年、旧電車通り沿いの時計屋を借り受けて学生街の喫茶店として開業した自由人舎時館。1999年にはエルムトンネルの手前に移転し、2021年に建物の老朽化により全館解体されました。惜しまれつつ閉館した時館が以前の場所からほど近い、北19条西6丁目にカフェとしてリニューアルオープンしたことに注目が集まったようです。閉館前のカフェタイムに提供されていたクレープとガレットを味わうことができます。お皿からはみ出るほど大きなガレットを味わってみては。
第6位 ヒグマへの関心、高まる(7・8・11月)
#197 愛して、恐れて~クマを保護しながら、管理する~
#152 北大にヒグマ出没!?
#201 クマだけじゃない、クマ問題 ~クマを知るには人を知れ~
北海道内で頻発するヒグマの出没。8月にはOSO18と呼ばれるヒグマが駆除されたことも記憶に新しいのではないでしょうか。11月には本学学生が大千軒岳で登山中にヒグマに襲われて亡くなるという痛ましい事故もありました。このような状況をうけ、ヒグマに関する記事3本がランクインしました。北海道ではヒグマを保護しつつ、人間社会との軋轢を減らすために頭数や生息地を管理しなければならない、という難問に直面しています。これまでとは違うヒグマとの向き合い方が必要な時期に来ています。
第5位 進化学研究にブレイクスルー(8月)
#190 なぜ“性”が生まれたの?〜有性生殖誕生の謎に迫る〜
#17 働きアリの群れには必ず、働かないアリがいる
農学研究院教授の長谷川英祐さんが、有性生殖誕生の謎に迫った研究で2022 Research
Highlights – Evolutionary Biologyを5月に受賞しました。この賞は、その年の動物行動学、進化生物学関連の研究のうち、優れたブレイクスルーを成し遂げた研究に与えられます。「いいね!Hokudai」は初の試みとして、漫画を使った研究解説記事を掲載しました。また、この受賞と関連してか、2013年掲載の「働かないアリ」に関する長谷川さんの記事もアクセス数が増加しました。どちらも必見です。
第4位 アイヌの文化、言葉と食(6・12月)
アイヌ料理
#131 アイヌを識る(6)〜アイヌ語を北海道の公用語へ〜
今年6月と12月に、北大生協でアイヌ料理が期間限定で提供され、「いいね!Hokudai」はねらいや経緯を含めてこの企画をお伝えしました。また12月には、2019年9月に掲載した平取町二風谷でのアイヌ語教育についての記事も関心を集めました。「北大を伝える」メディアとして、アイヌ民族に関する諸問題に向き合うことは必要不可欠だと私たちは考えています。
第3位 北大からプロ野球選手が誕生(10月)
北大に在籍しながら徳島インディゴソックスの投手として活躍することとなった宮澤太成さんと、北大野球部監督の秋野禎木さんにお話を伺い、3月に記事を掲載しました。その後、10月に宮澤さんはプロ野球ドラフト会議で西武ライオンズから5位指名を受けプロ野球選手として活躍することとなりました。北大からプロ野球選手が輩出されるのは史上初のことであり、スポーツだけではなくあらゆる分野でプロを目指す多くの方にとって励ましとなった出来事でした。
第2位 待ちに待った金葉祭(6月・10月)
今年、4年ぶりに完全復活開催となった金葉祭。6月の北大祭ではその予告として緑のイチョウ並木をカラフルに照らす試みも行われ、大いに盛り上がりました。10月28、29日の金葉祭当日は出店が立ち並ぶだけではなくイベント、ライブも行われ、市民や観光客など多くの人で賑わいました。また、ライトアップの瞬間には待ち侘びた人たちからの歓声が上がっていました。2023年も「いいね!Hokudai」は、金葉祭だけではなくキャンパスの四季を感じることのできる写真や動画でお届けしてきました。ぜひご覧ください。
第1位 大盛況、小泉悠さん北大祭で講演(6月)
北大祭最終日の6月4日、学祭実行委員会企画として講演会「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」が開催されました。講師はウクライナ情勢をうけてメディアで見ない日はないといっても過言ではない東京大学の小泉悠さんです。実行委員会のご厚意で講演の記事化を許可していただき、即日公開。多くの方に読んでいただくことができました。「いいね!Hokudai」はX(旧Twitter)でも記事を展開していますが、Xや、はてなブログでも大きな反響をいただきました。現在もウクライナで戦争は続いています。そして10月にはパレスチナでも激しい戦いが始まってしまいました。2024年はどのような年になるのでしょうか。
殿堂入り
エキノコックス、人との距離への関心
これらの記事は、エキノコックスの感染状況の実態や今後の対策といった基礎知識を伝えるだけでなく、市街地に住むキツネ「アーバンフォックス」とどのように共存していくか、読み手それぞれに考えを促す内容にしています。単に北大の研究を伝えるだけでなく、科学技術コミュニケーションとして発信する「いいね!Hokudai」の役割を改めて感じる殿堂入りでした。
北大祭
昨年度に続き記事数と閲覧数がとても多く、殿堂入りとなりました。今年も学生が自らをのびのびと表現し、学内外との交流が生まれる様子を見ることができました。北大祭を締めくくる「一万人の都ぞ弥生」大合唱とストームは、感情のうねりを身体で直接感じ、取材の醍醐味を感じた機会となりました。なお一万人の都ぞ弥生は、物語の中で描かれている色々な北大の姿を発見する「#物語の中の北大」にも登場しました。物語の中の北大シリーズでは、これからも別角度の北大を発見できることでしょう。
「いいね!Hokudai」では、今回取り上げた記事以外にも学生目線で捉えた北大、大学院生による自身の研究内容紹介、研究者インタビューやイベント紹介記事などがあります。また日々のふとした北大の様子を切り取った写真もお届けしています。
2024年はどんな「いいね!」と出会えるでしょうか。
皆様にとって幸多き一年になりますように。