まずはこちらの迫力ある動画をご覧ください。長い歴史をもつ北大応援団が朝練をする様子です。
なんとなく応援団のことは知っているけれども、詳しくは知らないという学部1年生の私たちは、6月下旬に応援団の皆さんに恵迪寮内にて突撃インタビューをしました! 初回は第112代団長の園木貴宏さんとリーダー部長の横溝航さんのお話を中心にお届けします。
【佐々木柚葉・村田尋・渡邉寿哉/総合理系 田中隆世/法学部 中條塔真/経済学部 澤田和奏/総合文系】
練習メニューについて教えてください。
園木: 最初にまずみんなで声出しします。今日はみんな正装で集まったので、団旗のあげ方を練習しました。団旗をあげるのが基本的に1年目の仕事ですが、1年目はまだ上げ方を覚えていないので。団旗がない日は「基本体制」の練習をやって、その後に、各役職で必要なことをやりますね。演舞だったり、マーチだったり応援歌だったり。個人練習みたいな感じです。
火曜は午後練があるんですけど、応援吹奏団という団体との合同でマーチメインの練習をしたり、応援歌を楽器付きで練習したりします。
今朝は小雨も降っていてコンディションが良くなかったと思いますが、気分が乗らない日はありますか? 対処法とかは?
園木: 乗らない日・・・(メンバーを向きながら)どうですか? 朝練なんで、基本的にみんなテンションはそんなに高くないですけど(笑)。練習は毎日あるものなので、モチベーションに関わらず声出てない奴がいたら「声出せ」って言ったりするぐらいです。
雨はあんまり関係ないです。スポーツって雨でもやるじゃないですか。そういう時も変わらず応援をしなければいけないし、なんならコンディションが悪いのって選手じゃないですか。だから我々がコンディション云々言ってられないんで、基本的に変わりなくやるっていうのが我々のモットーですね。なんなら雨が降ってきたらテンション上がるぐらいですよ。特に夏だと応援してて雨降ってきたら涼しくなるし、なんか気持ちいいね、みたいな感じですね。
正装というのは今の皆さんの服装がですか?
園木 : そうです。赤ふんどし、羽織袴。あと1年生の「兵隊」だったらはちまきだったり、打着だったりになるのが正装です。あとは「ボロ羽織」は髪と髭を伸ばし続ける。髪とひげもじゃもじゃで、ボロボロの羽織袴っていうのが元来の応援団スタイルだったんです。僕、団長ですけど、応援団員の中で一番かっこいいのはボロ羽織だって思ってます。その感覚が精神として受け継がれてるっていう感じですね。
髪を伸ばすというのは何か理由があるんですか?
園木: このスタイル、髪をのばすのがかっこいいっていうのが一つですね。アイデンティティの一つでもあるし。あとよく言われるのは、髪とか髭とかこんなに伸ばしてると社会生活には溶け込めない。だからもう応援団のことしかできないんですよね。これが理由かな。外見より内面を磨けっていう感じです。
6月の北大祭のラストを飾った「一万人の都ぞ弥生」ですが、長い巻物(檄文)を読み上げているのが印象的でした。あれらも全て手書きなんですか?
園木: もちろんそうです。書かないと始まんないんで。檄文もそうだし、立て看板とかビラとかそういうのを色々たくさん書く機会が多いんで、習字がうまくなりますよ。(笹岡さんを指さして)こいつめっちゃ最初字がへただったけど上達しましたよ(笑)。
司会の方のお話もすごい面白いなって思ってたんですけど、あれはどなたが考えているんですか?
園木:それはもう司会が考えてますね。我々北大応援団は、観客の心の掴み方はやっぱり秀でてると思いますね。観客の心を掴んで盛り上げるっていう。
一年を通していろんなイベントがありますが、重要度の高いイベントは何ですか?
園木: そうですね、全ての部活動が練習を頑張ってるので、我々は重要度の優劣はつけないようにしてます。七大戦ってのはもちろん競技応援ってのもあるけど、七大戦全体を盛り上げるっていう意味があり、対面式は商大戦全体の盛り上げです。七大戦がある部活もあるし、商大戦がない部活もある。そういうのがあるんで、我々の中で明確な優劣とかはつけないようにはしてます。
ただ、規模とか意味ってのは変わってきますね。対面式は我々応援団が112代ずっと続けているルーツのあるものなので大事だし、我々4年生は七大戦で引退するんで七大戦は集大成って意味で大事。この前の「一万人の都ぞ弥生」に関してはやっぱり北大全体を盛り上げたり、我々の姿を北大生に見せたりって意味で大事。
それぞれが重要な意味があるってことですね。応援団は恵迪寮との関わりが強いと感じるのですが、どういう関係性なのでしょうか。
園木: どういう関係性・・・なんだろう、僕の認識としては、一番仲のいい友達の一人って感じですね。一番古くからの親友ってのが恵迪寮かなと思います。他にもいろんな部活と仲良くするじゃないですか。野球部へ応援行ったり、ボート部へ行ったり。その中の一つとして寮があるっていう認識です。
横溝: 一緒に文化を守ってるのかな。例えば「都ぞ弥生」だったりとか、寮歌とか。北大生でも歌える人は結構少なくなってきてるんですけど、僕ら応援団だったり恵迪寮生が歌い繋いでいってることとか、対面式を盛り上げてくれたりとか。彼らと一緒に文化を引き継いでいってる側面もあるのかなと思います。
私たちは応援団のパフォーマンスを入学式で見て、異質な存在と感じて取材をしたいと思ったのですが、皆さんが北大生や学外の方に知ってほしいことはありますか。
横溝: やっぱり「都ぞ弥生」を歌えるようになってほしいってのが僕はあるかもしれないです。
園木: 我々は北大の一団体として存在してるわけじゃなくて、北海道大学ができた時からずっと共に存在してる北大の一部っていう印象が僕は強い。皆さんさっき「異質な存在」って言いましたけど、応援団からしたら今の学生の方が異質なんですよね。百年前の元々の北大生って我々みたいな感じなわけじゃないですか。その時の精神を引き継いでいるのが我々なので、一団体として応援団を知ってほしいっていうよりは、北大のことを皆に好きになってほしい、古くからの北大の歴史や大切な文化を皆に知ってほしい、守ってほしいっていう気持ちが強いですね。
すごくかっこいいですね。
園木: 格好つけました(笑)。
日本中の応援団って最初どこも羽織だったんですよね。でも太平洋戦争で一回途切れたり、不便だから学ランにしようってことになったんですよ。だから我々はその断絶時代がなくて、明治の時代から続いていて、大学に対する愛着だったり一体感みたいなのは何よりも強みかなって思います。
横溝: 歴史とともにあるっていうか。
園木: うん、羽織は不便なところももちろんあるんですけど、でもやっぱり大事なのは、時代が変わっても、他の文化が変わっても、他の応援団が変わっても、やっぱり変えないってのが大事だし、それでこそ、そのなんだろう、北大だったり札幌に対する馴染みとか、我々のこの羽織だったり下駄だったりに対する馴染みみたいなのが生まれるんじゃないかなと思います。
園木さんたち第112代の強みを教えてください。
園木: この代の強みはやっぱり元気。結構仲がいい代ではありますね。相当雰囲気はいいと思います。厳しいところは厳しいですけど、いろんなところでコミュニケーションを取って、それぞれの団員が気兼ねなく話せるのが一番強いんだなって思います。
横溝: あとここ十年くらいだと一番人数いるんじゃない? 最近縮小の傾向があったんですが、コロナが明けて復活してきてますね。
いかがでしたでしょうか。もっともっと色んなお話を聞きたいところですが、前編はここまで。北大応援団の面白エピソード、意外な真実…まだまだ後編に続きます。明日掲載の後編のチェックもお忘れなく!!