2010年に、北大の生命科学院を修了し、現在はキリン株式会社 R&D本部 飲料技術研究所 に勤務している河合淳一郎さんが「なまら楽しめ! 大学生活!〜私の大学生活をご紹介〜」と題して、学部1年生対象の「大学と社会」の講義をつとめてくれました。河合さんの講義の一部をご紹介します。
面白い! と思うことをやり続けることができる人になるのはいかがですか?
河合さんは北大生に向って「自分が、面白い! と思うことをやり続けることができる人になるのはいかがですか?」と提案します。北大の学生ならば、就職活動をして「なんとなく」働く先を見つけることもできます。しかし「なんとなく」決めた会社で、大学を卒業後の35年間働くことははたして幸せなことなのでしょうか。河合さんは「大学卒業後に就職してせっかく働くのならば、自分のやりたい仕事がいいのでは」そして「自分が面白いと思えることを見つけるためにも、大学でもっといろいろなことにチャレンジしてみよう」と、エールを送ります。
講義は役立つ!
河合さんは、1年生のとき、46コマの講義を受講しました。たとえば語学では、英語、ドイツ語、オランダ語、ポルトガル語、イタリア語と、すこしでも興味をもった講義を受講しました。その結果、語学は自分に向かないことを痛感したそうです。この体験は「自分が面白いこと」を見つけるための経験の一つなのかもしれません。
さらに河合さんは、自分の興味のおもむくままに受講した講義は、その後の人生で意外と役立っているといいます。「人生は一本レールではない、多方面に伸びている、そこで今まで受講してきた講義がどこかで関係してくる、講義は決して無駄にならない」と語りかけます。これは社会人となった河合さんの実感が込められた表現だと感じました。
サークルも大切!
一方、2年から4年の間は、カーリングサークルに熱心にとりくみました。河合さんは、当時を振り返って「サークルで出会った友人は今でも友人、人生を豊かにするために、大事なダラダラの時間だった」と述懐します。このような時間の貴重さを知っている河合さんは「みなさん一生懸命ダラダラしてください」と北大生に呼びかけました。
面白いことは続けられる!
河合さんは、北大大学院理学院生命理学専攻(現在、生命科学院生命科学専攻)に進学しました。大学院では、緑色に光るイモリを作る研究をおこないました。数百回にわたる失敗の末に、最終的に光るイモリをつくる実験に成功しました。この研究成果は、学部内発表会で最優秀賞を受賞しました。この経験から、辛くても、面白いことは、続けることができる、頑張れることを学んだそうです。
大学生の今だからできることを!
北大生に対して河合さんは「長い休みだからこそできること、大学生だからできること、体力がある今だからできることをやってみよう」と呼びかけます。河合さんは長期休暇を使って、アルバイトと旅行をしました。夏休みは一人旅、春休みは友人と共に、旅行は青春18きっぷを使い、野宿をしたり、友人の実家に泊めてもらったりしながら日本全国を巡ったそうです。時間と体力がある大学生時代だからこそ、社会人ではできない経験を積むことができるのです。
新しいことを生み出すことのすばらしさ
河合さんは、キリン株式会社 R&D本部 飲料技術研究所で、お茶や紅茶からカフェインを取り除いた新しい飲料の研究・開発に携わっています。新製品の開発には常に困難が伴い、完成までに4年半の試行錯誤の期間がありました。その当時を振り返り「新しいこと始めることは、正解もなく、なまら面倒なことがたくさんある」と表現します。しかしだからこそ「世界初をとることがお客様にとって価値があること」といいます。なぜなら「新しいことを生み出し、今までお客様が不自由していたことを解決することで、お客様に喜んでもらうことはなにごとにも代え難い」からです。自分が面白いと思うことを一途に追求することが、自分だけではなく多くの人の幸せにむすびついていることを、自らの体験を通じて語ってくれました。
北大生へのエール
最後に河合さんは「ほんとうに自分がやりたいことを見つけるには、実際に自分が体験しなければ解らないし、時間もかかる。正解もない。講義やサークルなどいろいろなことに手をだして、自分にとって本当に興味があることを探してみよう」と北大生にメッセージを残してくれました。
河合さんありがとうございました。
河合淳一郎さんが講義を行ったのは、全学教育科目「大学と社会」です。