2008年に北海道へのUターンをサポートする転職コンサルティング会社・リージョンズを設立した高岡幸生さん。1991年に北大法学部を卒業後、株式会社リクルートに入社し、自身の会社のビジネスモデルとなった採用分野のコンサルティングに携わってきました。社名であるリージョンズには、”地方を人材で元気にする”という高岡さんの願いがこもっています。今回は学部1年生に向けた『起業しましょう!!』という高岡さんの熱いメッセージの一部をご紹介します。
千脇 美香(CoSTEP11期 選科演習A/社会人)
人間が変わるきっかけは2つだけ
高岡さんは「人間が変化するきっかけは2つだけ」と話します。「1つ目は戦争や家族の死など、衝撃的な体験をすること。2つ目は毎日反省すること」。
学生時代、アイドル研究会に所属していた高岡さんは、そこで友人たちと濃厚で深い人間関係を築いてきました。
大学1年生の冬、唯一の兄妹である、妹さんを突然の事故で亡くします。この時親身になって励ましてくれたのが、同研究会の先輩や友人でした。この妹さんの死をきっかけに高岡さんは、将来、大手企業に勤め、世界中を飛び回る華やかな生活を送ることではなく、札幌の両親の側で生活して行くことを意識し始めます。同時期に、会社経営者と食事をした際、「自分も経営者になり、人の面倒をみたいと感じました」と話します。
2つの出来事から学んだリクルート時代
将来起業することを考えて入社したリクルート。在職した約17年間で2つの大切なことを学んだと高岡さんは語ります。
1つはカリスマ営業マンと言われた甲州賢(こうしゅうまさる)氏との出会い。「甲州さんの営業魂を学び、怠惰な自分を変えるきっかけとなりました」。
もう1つは福島県での営業所の立ち上げです。人を育てることの難しさや、新しい仕組みを作ることの大変さ、自分一人でできる仕事の限界に気付き、助けてくれる周りの人への感謝の気持ちを学んだといいます。
その後、北海道や新潟事業所を経て、400人の大きな事業部の責任者になった高岡さんは、ここではマネジメントの難しさに直面し、2年間、ほとんど成果が出せなかったそうです。その頃リクルートが地方の事業所を撤退しました。そこに高岡さんはビジネスチャンスを見出します。
今日のメインメッセージ”起業しましょう”
2008年、高岡さんは札幌で首都圏からのUターン者向けに転職紹介をする会社を設立します。当初は「お金儲け」が事業の目的になっていたといいます。
しかし、その考え方に変化が起こります。それは、資金繰りが悪く倒産の危機に直面した時期、社員の頑張りで乗り越えることができたからです。高岡さんは「お金儲けではなく、社員思いになること。人に感謝する心を持てば業績も伸び、経営者の器次第で、会社は大きくなることを実感しました」と話します。
大学1年生にとって、起業はどこから始めてよいのかわからない未知の世界で、「起業しよう」と言われても不安の方が大きいものです。しかし、高岡さんは、「今の日本では起業してもリスクはありません。大切なことは世の中のニーズを見つけ、事業を始めたい気持ちがあれば大丈夫です」と言葉に力を込めます。「会社経営で得られるのは、オリジナルのビジネスモデルで食べていけることの満足感や、仲間が増えていくことの楽しさ。自分の変化を実感できることです」。
最後に力強いメッセージ
人間はいつか死ぬという死生観を持ち、目の前で起きていることの意味を自問すること。それが、人生を豊かにし、自分の気付きにつながるというのが、高岡さん自身が経験から得た人生観です。最後に「北大のプライドを捨ててください。伸びる経営者はプライドがなく全てのことをエネルギーに変えていけます。そして大学4年間でたくさんの世界を見ること。人生は一度きりです。ぜひ、大きな絵を描き起業してみて下さい」と力強いメッセージをいただきました。
高岡さんありがとうございました。
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高岡幸生さんが講義したのは、全学教育科目「大学と社会」です。