皆さんもご存知の通り、私たちが住む日本列島には富士山をはじめとする数多くの活火山があります。2015年には口永良部島の新岳や箱根火山の活動が世間の注目を集めました。気象庁は全国110の火山を「活火山」に指定し、火山災害を軽減するための観測を行っています。
谷内元さん(理学院1年)が研究対象としている、北海道・利尻島にそびえる利尻山も活火山のひとつに数えられており、最後の噴火は2000年前と考えられています。実は、この利尻火山は日本列島に沿って伸びる火山の”列”から離れ、独立して存在する特異な火山で、世界的に見ても極めて稀な場所にある活火山でもあるのです。利尻島の地下でマグマがどのように発生し、進化し、噴火し、ヤマを作ったのか?谷内さんは、野外調査と、高い精度の化学分析を駆使することで、この謎を解明したいと考えています。
火山の研究手法には地震波などを使った「観測」と火山からの噴出物を調べる「岩石学」の二つのアプローチがあります。「観測」から得られる噴火の情報が長くて数100年程度であるのに対し、「岩石学」からアプローチした研究ではそれよりもはるかに遠い過去へと遡れるため、「長期的な噴火予測」を作るのに役立ちます。
人類は小惑星「イトカワ」から宇宙の物質も直接手にしましたが、深さ10 km以上の地球内部の物質は直接手にできていません。「雪は天からの手紙」という北大の中谷宇吉郎博士の言葉がありますが、岩石はまさに「地球内部からの手紙」です。岩石学からのアプローチで利尻火山を調べることは、長期的な噴火予測に役立つだけでなく、利尻島の地下深く、そして地球の内部がどうなっているのか?という謎を明らかにする研究なのです。
谷内さんの研究、実際に現地で撮影された美しい山の風景とともに、お楽しみください。
動画を見る→http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/cs/video/2016self2/taniuchi/
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この映像は、谷内元さん(理学院 修士1年)が、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
谷内さんの所属する研究室はこちら
理学院 自然史科学専攻 岩石学・火山学研究室(栗谷豪 准教授)
https://www.sci.hokudai.ac.jp/grp/pv/pv/index.html