2016年度に、JAXAは「地球環境変動観測ミッション」の一環として、人工衛星「GCOM-C」を打ち上げる予定です。GCOM-Cは地球上の気候変動を明らかにするため、大気や海洋、陸地、雪氷を観測します。
GCOM-Cから得られるデータのひとつに「太陽光誘発クロロフィル蛍光」という指標があります。この指標は植物が光合成を行う際に検出され、光合成量と相関があります。GCOM-Cで宇宙から太陽光誘発クロロフィル蛍光を観測することにより、地球規模での光合成量の把握につながります。さらに、GCOM-Cの持つ空間分解能は250メートルという細かさです。こうしたデータを用いることで、例えば針葉樹林・広葉樹林といったそれぞれの森の特性に応じた森林制作の方針が立てられます。また農地ごと、作物ごとに作物量を予測することも期待されています。
そこで水野さんはGCOM-Cのデータを利用して、太陽光誘発クロロフィル蛍光を検出する研究をしています。
陸上の生態系の光合成量を正確に把握できれば、生態系が気候変動にどのような影響を与えているのかが分かります。地球規模で陸上の生態系による光合成量を正確に把握することで、植物の生育状況を効果的にモニタリングできます。更にそこから、植物が気候変動に与える影響もシミュレーションできます。つまり気候変動が植物へ及ぼす影響、更に影響を受けた植物から気候変動への影響をシミュレーションすることができるので、陸地の生態系における気候変動モデルを作成できます。こうした気候変動モデルは海洋の生態系での同様なモデルと組み合わせることで、地球環境問題などさまざまなシミュレーションを行うスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」への活用も期待されています。
宇宙から地球上の光合成量を測るという、スケールの大きな水野さんの研究、ぜひ映像でお楽しみください。
動画を見る→http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/cs/video/2016self2/mizuno/
※ ※ ※ ※ ※
この映像は、水野一樹さん(農学院 修士1年)が、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
水野さんの所属する研究室はこちら
農学院 共生基盤学専攻陸域生態系モデリング研究室(加藤知道 助教)
http://www.agr.hokudai.ac.jp/katolab/index_J.html