こちらの文鳥が安達寛子(生命科学院)さんの研究対象です。仲のいい夫婦のように見えるでしょうか?
実は、彼らはオスとメスのつがいではありません。寄り添っているのは両方ともオスなのです。彼らは一緒に食事をしたり、お互いの羽繕いをしたり、オスとメスのつがいと同じように鳴きかわしたりします。
いわゆる「同性愛」は、子孫を残すという意味では直接の利益がありませんので、珍しい、おかしな現象のように思われがちです。しかし、自然界では思いのほか広く観察されており、野生の鳥に関する研究だけに絞っても、90種以上の鳥類で「同性愛」が報告されているという事実があります。
安達さんは、寄り添う文鳥を観察することで、同性間の絆はどのように育まれるのか、それにはどんな理由や役割があるのか、ということを解き明かそうとしています。
恋愛に限らず、「自分と同じ性別の、家族でも親戚でもない相手と仲良くする」ということは、生物学的に見ると実は不思議なことです。生物が子孫を残すためには、異性にアピールをしたり、血のつながった相手を守ったりすることは必要不可欠ですが、同性の友達を大事にすることは必ずしも必要なわけではありません。けれども、私たちは同じ性別の相手と仲良くなったり、助け合ったりします。
オス同士でペアを組む文鳥の行動を調べることで、このような疑問を紐解くことができると安達さんは考えています。自然界での恋愛や性別のあり方は案外柔軟で、多様なものです。寄り添う文鳥を見つめることで、多様な愛の形が見えてくるのかもしれません。
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この映像は、安達寛子さん(生命科学院 修士1年)が、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
安達さんの所属する研究室はこちら
生命科学院 生命システム科学コース 相馬研究室(相馬雅代 准教授)