今や北海道土産の定番の一つになったミルククッキー「札幌農学校」。その売上の寄付金による「きのとや奨学金」が設立されることになり、11月13日に、本学の名和豊春総長から、きのとやの長沼昭夫会長に感謝状が贈呈されました。
きのとやが製造する「札幌農学校」は北海道大学認定商品です。2005年の発売からこれまで、売上の一部、1千数百万円が毎年寄付されてきました。寄付金はこれまでキャンパス緑化整備に使われてきました。2004年の台風18号によって1500本もの樹木が倒れ、大きな被害を受けたキャンパスをよみがえらせるためです。
そして今回、支援累計額が1億円に達したため、「きのとや奨学金」が、きのとやの提案で設立されることになりました。経済的に困窮している学部1年生が対象で、毎年度3名が採用され、月額4万円が4年あるいは6年間給付されます。この奨学金には返還義務はありません。
長沼会長は1972年に水産学部を卒業した本学OBで、その後、洋菓子会社きのとやを設立されました。
「一番最初に札幌農学校を販売したのは2005年の入学式でした。どれだけ売れるか分かりませんでしたが、1000箱を用意しました。ところが今でも忘れません。大好評で、あっという間に売れてしまったのが発売日の思い出になっています。その後、本学の方々の御支援がひとつの核となり、地道に毎年売上が伸びてきました。
私自身も、中学生の時に父が病死したため、大学では奨学金をもらうことで勉強することができました。何か恩返しができれば、とずっと思っていましたが、このような形で恩返しができてうれしく思っています」とお話されました。
名和総長は「かつて、新渡戸夫妻は貧しく勉強することができない人のために、遠友夜学校を開きました。長沼会長が困窮する学生を支援したいと申し出られたことは、この精神を受け継ぐものであり、まさに本学OBの鑑です。本学を代表して御礼いたします」と挨拶をしました。
きのとや奨学金は来年度から始まります。