第98回サイエンス・カフェ札幌「メダカの三角関係〜束縛したいメカニズム〜」が12月10日に開催されます。そこで、カフェのゲストである横井佐織さん(薬学研究院 助教)に、研究についてのお話をうかがいました。
ーー研究者になろうと思ったのはどうしてですか
私は高校生の頃から、医者になるか研究者になるか、進路についてずっと考えていました。大学の教養学部から専門課程を選ぶ際に、様々な研究室を見学して「動物の行動を研究することで、人についても知ることができるのでは」と考えるようになりました。そこで、人の行動メカニズムを自分オリジナルの方法で明らかにしたいと思い、研究者を志して理学部に進学しました。
(メダカの産卵の様子 写真提供:横井さん)
ーーメダカの研究をしようと思ったのはどうしてですか
進学した先の学科では、行動の研究対象が線虫かメダカだったんです。私は最初、線虫の研究をしていたのですが、線虫には目がありません。臭いと触覚で周囲を知覚して行動するんですね。人のことを理解したいならば、もう少し人に近い動物がよいだろうと思って、修士課程からメダカの研究を始めました。メダカは目がよくて、顔を見て相手を認識しているのですよ。人間と似ていますね。
(研究室の水槽中のメダカ)
まずは観察から
研究室の先生からは、最初にメダカを与えられ、研究テーマを自分で考えるように言われました。そこで1カ月ほど毎日メダカを観察し続けました。メダカの観察中に発見し、記録・定量化したのが、今回のカフェでもお話しする、メダカの割り込み行動です。先生は「自然の中で見える現象を、自分で切り取ること」が研究において大切であると強調されていました。自分で、メダカの割り込み行動を見つけ、研究テーマにしたことが、その後の研究にもよい影響を与えたと思います。
(メダカの餌作りも大事な研究の一環)
ーー北大でのこれからの研究について教えてください
メダカの「ロングノンコーディングRNA」についての研究を行っていこうと考えています。タンパク質はDNAの情報をもとに合成されるのですが、RNAはその情報の中間体として捉えられてきました。しかし、タンパク質の合成にかかわらず、それ自体が機能を持つRNAが多く存在することが最近わかってきました。そのようなRNAをノンコーディングRNAと呼び、長さが長いものを特に、ロングノンコーディングRNAと呼びます。ロングノンコーディングRNAには機能が知られているものもありますが、知られていないものが多く存在します。未知のノンコーディングRNAを探し、その機能を明らかにすることは、とても挑戦しがいがあります。しかも、メダカを使って研究しているのは、今のところ世界でもおそらく私だけだと思います。新しい発見ができることを願っています。
(北大で横井さんの下でメダカの研究を行っている井ノ上俊太郎さん(薬科学科3年)(右)と)
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横井さんがゲストのサイエンス・カフェ札幌の詳細はこちら
第98回サイエンス・カフェ札幌 メダカの三角関係~束縛したいメカニズム~
【日 時】12月10日(日)14:30~16:00(開場14:00)
【場 所】紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン
北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F(011-231-2131)
【ゲスト】横井佐織さん(北海道大学大学院 薬学研究院 助教)
【聞き手】奥本素子(北海道大学CoSTEP 准教授)
【参加費】無料
【定 員】80名
【主 催】北海道大学高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP・コーステップ)
【協 力】TERRACE
【WEB】http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1703/