2018年2月16日、国立大学図書館協会北海道地区協会が主催する、平成29年度企画事業「Redesign!講習会・ガイダンスをインストラクショナルデザインで再設計!」が附属図書館本館で開催されました。
(第二部でのワークショップの模様)
インストラクショナルデザインとは、学習の効果、効率、魅力を高めるために行う教材や教育プログラムのデザインです。特に独学が中心となるeラーニングでは、教員がいなくても学習がスムーズに行えるように、教材や教育プログラムのデザインを工夫するインストラクショナルデザインが採用されています。近年、インストラクショナルデザインはeラーニングの場面だけでなく、企業研修や生涯学習の場面でも広く活用されています。
実は大学図書館も、様々な場面で、利用者の学びを支援する機会に直面しています。情報化が進んだ現在、大学図書館は単に本を借りるだけの場ではなく、オンラインジャーナルの利用やデータベースでの検索、リポジトリの登録など、様々なサービスを利用できる施設として発展しています。新しいサービスの増加と共に、それらのサービスの利用を促進し、その利用方法について学んでもらうための、講習会やガイダンスも増えています。また、近年は大学において学生自身が主体的に学ぶアクティブラーニング型の授業が積極的に採用されています。アクティブラーニング型の授業においては、大学図書館職員は大学教員と協力し、学生の情報収集活動の支援を行う場合があります。国立大学図書館協会北海道地区協会では、図書館職員を取り巻く職能の変化に備えて、図書館職員向けのインストラクショナルデザインのワークショップを企画しました。
本講習は、2部構成になっており、第1部ではインストラクショナルデザインを活用した教育を行っている奥本素子さん(科学技術コミュニケーション教育研究部門 CoSTEP 准教授)を招き、基本的な考えを理解するための講義を実施しました。第2部では、図書館にインストラクショナルデザインを紹介した高野真理子さん(特定非営利活動法人 大学図書館支援機構(IAAL)副理事長)より、大学図書館におけるインストラクショナルデザインとして、講習会・ガイダンスへの応用を意識した実践的な内容の講義及び実習が行われました。
第1部では奥本さんから、インストラクショナルデザインとは、単に何かを伝えるだけでなく、学び手の学びたいという動機づけを高め、学び手側が実践で活用できる知識や技能を精査して届けることであることが伝えられました。
(第一部の講師の奥本素子さん)
第2部では、高野さんがファシリテーターを務めて、グループワークで講習会のプログラムを考えるという実践的な実習が行われました。実際に大学図書館職員同士のディスカッションを交えたグループワークは参加者にとって、いい刺激になったようです。
(第二部の講師の高野真理子さん)
時代と共に情報の形態、学びの在り方は変化していきます。そしてその変化に伴って、大学図書館職員の役割も拡大、多様化しています。普段何気なく利用している大学図書館ですが、私たちの利用の裏には、新たな情報収集や時代に合わせた技能の獲得を怠らない、知のスペシャリストとしての図書館職員の研鑽があるのです。