4月14日、円山公園パークセンターにて、身近な野生動物と人との関わり方を考えるトークイベント「まるやま野生動物カフェ」が開催されました。
(会場の円山公園パークセンター)
まるやま野生動物カフェは、円山リスの会、円山公園指定管理者(公財)札幌市公園緑化協会、NPO法人EnVision環境保全事務所の共催で企画されているカフェですが、北海道大学の研究者や学生の方々も、ゲストやスタッフとして関わっています。
第9回の今回は、「キタキツネ」がテーマ。北海道大学高等教育推進機構CoSTEPの池田貴子さんをゲストに開催されました。
(ゲストの池田貴子さん)
(司会のNPO法人EnVision 長谷川理さん)
前半は、そもそもキツネとはどういう動物なのか、という紹介の話。後半はキツネから人に感染する寄生虫「エキノコックス」についての話が展開されました。
(土管の中でくつろぐキタキツネ)
(会場からは、話の途中にも質問や意見などが発せられ、活発な交流が行われました)
エキノコックスは人や野ネズミなどに感染すると、肝硬変のような症状を引き起こす恐ろしい寄生虫です。一時期、キツネを駆除することで感染の増加を食い止めようとしたことがありましたが、ほとんど効果はありませんでした。エキノコックスは、主に感染したキツネの糞から人に感染します。そこでキツネに駆虫薬(虫下し)を混ぜたエサを与え、キツネの糞に混入する虫卵を大きく減らすことで、人に感染するリスクを下げるという方法が、北海道大学でのエキノコックス研究の蓄積を通じて開発され、現在では世界の主流の対策となっています。
エサに混ぜる駆虫薬がキツネの健康を悪化させることはありません。人とキツネの関係性を壊すことなく、エキノコックスの感染は防ぐことができる、というメッセージを池田さんから受け取ったように思います。
(知り合いの猟師さんからキツネ、タヌキ、アライグマの毛皮と頭骨をお借りして、実際に手にとってキツネの特徴を学ぶことができました。一番手前はエキノコックス成虫の拡大模型)
野生動物と私たちの関り方を、さまざまな動物の生態を通して考えることができる「まるやま野生動物カフェ」。次回は5月末か6月上旬ころに企画をしているそうです。興味のある方は、円山公園ウェブサイトのお知らせコーナーをチェックしてみてください。