初夏の陽気も漂う中、北部エリアにある低温科学研究所へ。ここでは、南極の環境「−50℃の世界」を体験できる超低温保存室が、今日限定で一般公開されていました。斎藤健さん(低温研 研究支援推進員)の案内のもと、いざ「南極体験」がスタート! 防寒用のオーバーオールと長靴を装備して万全の体制で保存室へ潜入。吐いた息も凍るほどの−50℃の世界の中で眠っているのは「アイスコア」呼ばれる氷です。
(ドームふじ基地での採掘の様子を説明してくれる斎藤健さん。その後、超低温保存室へ向かいました)
(棒状の氷が、ドームふじ基地内で採掘されたアイスコア。4m毎に採取されますが、運搬と保管のため50cmに切断されています)
(ー50℃の世界では、髪に霜がビッシリと!!)
このアイスコアは、ドームふじ基地で深さ2.2kmにまで掘り下げて採取したものです。最深部の氷は、遙か昔75万年前の氷。アイスコアの中に含まれている物質を調べることで、過去の地球の環境をしることができるのです。
(5cm角ほどもある氷の単結晶。単結晶なので結晶の間の継目はありません。うすくスライスして偏光版ではさんである標本で、光をあてると美しい色が浮かびあがります)
美しいアイスコアですが、実は輸送が大変で、ドームふじ基地から約1,000km離れた沿岸の昭和基地に運ぶだけでも、何と約3週間もかかるのだとか! さらに、最新の注意を払いながら低温科学研究所までは運ぶのは大変な時間と労力が必要となります。
そんな大切な標本を、惜しげもなく見せていただいた科学研究所の皆さまには大変感謝です。なお、注意書きにも「小学生以下、体調が悪い方はご遠慮願います」とありました。今日の気温と保存室の温度差は最大で70度! 保存室に入る際はくれぐれも体調にご留意くださいね!
【望月貴文・CoSTEP本科生/社会人】