皆さんは、船底(ふなぞこ)に塗られた塗料が、貝類の絶滅に繋がる危険性があることを知っていますか。北 侑高(きた ゆたか)さんは、塗料に含まれる「トリブチルスズ」という物質について、環境中に残存する濃度などを分析して環境への影響を評価する研究を行っています。
トリブチルスズは船底にくっついているフジツボなどが船が進む際の抵抗となり燃費が悪化するのを防ぐために使われていました。この物質が貝類に悪影響を及ぼしていることがわかり、世界中で使用が禁止されました。いまは貝類に影響のない、新たな防腐剤物質を用いた船底塗料が使用されるようになっています。
2015年の国連サミットで「持続可能な開発目標」が採択されました。これは経済発展を進める上で、将来世代に限りある資源を残そうとする取り組みです。地球の約7割は海であり、また水資源の9割以上は海水です。そこで、人間の活動が海の環境にどのような影響を及ぼしているのか分析することはとても重要です。
船底の塗料から、どれくらいの環境汚染物質が溶出しているか分析するこの研究は、化学物質から貝類を守るために、とても重要な基礎データとなります。
北さんは、将来の世代にも、限りある資源を現在のまま残せるよう、これからも研究を進めていきたいと考えています。
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この映像は、北侑高さん(環境科学院 修士1年)が、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
北さんの所属する研究室はこちら
北海道大学大学院環境科学院環境起学専攻環境適応科学、環境適応科学 沖野龍文研究室