理学部5号館で行われている理学祭は数学、化学、物理に地学、生物、高分子と、硬いものから柔らかいもの、大きいものから小さいものまで何でもそろった科学の祭典です。その中からいくつかピックアップしていきましょう。
数学展:3階
白黒モノトーンの静謐な部屋の中、ひときわ目立ったのがカラフルなルービックキューブ。数学と関係があるのか?と思ったら、説明してくれた鎌倉雄洋さん(理学部3年)曰く、置換パズルの一種なので、数学の一分野である群論を使って解くことができる、とのこと。やっぱりこてこての数学でした。ちなみに慣れた人ならば頭の中で動かす手順ができるので、目隠しをしても揃えられるそうです。
(6面の色の配置には、世界基準と日本独自の配色があります。左が日本配色、右が世界配色)
地学展:3階
入口近くにある火山をつくる体験型実験を気にしながらも、鉱物の展示ブースに進みました。化石はもちろん、キラキラ輝く石や透き通った石、ごつごつやつるつるの石など、まさに石の博覧会。
「シュードタキライトは地震の化石とも呼ばれている鉱物なんですよ」。そう教えてくれたのは木村優斗さん(理学部3年)。お勧めの石を聞いたところ木村さんの答えです。この鉱物は、地震で断層ができるときに、岩石同士がこすれる摩擦熱で溶けてガラス状になったものです。
(黒い部分が、地震で形成されたシュードタキライト)
その他にも様々な鉱物がありました。同じ種類の鉱物も産地によって「顔が違う」そうです。石好きはもちろんのこと、石っころと思っていた人も鉱物に魅せられること請け合いです。
(木村さんもう一つのお勧め鉱物。クロム透輝石。彼がこの分野に入ったきっかけをつくった石です)
生物展:4階
今回見て回った中でもバラエティーに富んでいたのが生物展。微生物あり植物あり動物ありと、見ているだけでわくわくしますねえ。
そんな中で特に気になったのが透明骨格標本。筋肉や内臓を透明にし、骨と軟骨を染色して観察しやすくしてある標本です。担当の葛西仁太さん(理学部3年)に話を聞くと、小型の動物でも詳細に骨格が観察できるため、分類に大いに貢献した技術だそうです。
(こちらは非売品の見本。前列中央はカメ。後列右はマウス。他は魚類)
しかしその標本は美しさを備え、芸術的でさえあります。科学研究のための技術が、結果そのままアートにもなるんだなぁ、と思いました。標本は販売もされています。気に入ったらお部屋のインテリアにいかがでしょうか?
(生物学展では、オリジナルの漫画『生物科学科撃団』も配布しています。
写真は作者4名のうちのお二人、ミコラさんと鈴木夢乃さん。ミコラさんはウクライナからの留学生)
【林忠一・CoSTEP本科生/北大職員】