北大祭のにぎわいの中、ひときわ静かな緊張感が漂っていたのが「北大古武道探求会」による演武。クラーク会館に、時を超えた武の所作が舞い戻ります。
北大古武道探求会が実践するのは、「古法諸新流武術(こほうしょしんりゅうぶじゅつ)」。これは、剣豪・宮本武蔵が創始した二天一流剣術や気楽流柔術を中心に、種々の古武道を一つの理論体系のもとに統合したものです。日本古来の本物の武術を現代に再現すべく、武術家・諸井正毅(もろい まさたけ)氏によって創始されました。単なる古流のカタチの保存ではなく、実践的な技と哲学を現代に生かす“武の探究”そのものだといえるでしょう。
今回出演されたのは、諸井宗家と3名の直弟子の皆さん。剣術・棒術・杖術・柔術など、多岐にわたる技の型が披露されました。重心移動に基づく無駄のない動き、相手の攻撃の勢いを自らの流れに引き込んで受け流す体捌き、そしてときには武器を持たずとも成立する護身術としての身体操作、──そのすべてが、深い集中と練習の積み重ねを物語っていました。
観客からは、「静かな動きなのに迫力があった」「かっこよかった」といった感想のほかに、「いつの間にか攻守が逆転して不思議だった」「武道は未経験だが普段の自分の体の動かし方を振り返った」という声も。武道になぜ「型」が存在するのかを考えるきっかけとなったようでした。

現在、北大古武道探求会の指導を担うのは大舘智志さん(北海道大学低温科学研究所 助教)。諸井宗家の直弟子として、その技と精神を受け継ぎながら後進の指導や奉納演武を続けています。


来週末2025年6月15日は、北海道神宮例大祭での奉納演武も予定されています。
現在、北大古武道探求会では新規会員を募集しています。経験や知識は一切不要。落ち着いた空間で黙々と身体と向き合う稽古の時間は、きっと日常の中に新たな視点と強さをもたらしてくれるはずです。興味のある方は、ぜひ門を叩いてみてください。
北大古武道探求会
稽古日:不定(要相談)、週一回程度
場 所:札幌市内(市立体育館、児童会館等)
対 象:北海道大学の学生・教職員、他大学の教職員、一般の方(英語対応可能)
連絡先:北大古武道探究会 指導責任者 大舘智志(おおだち・さとし)sohdachi@yahoo.co.jp
諸井正毅宗家のYoutubeチャンネル「古武道と二刀流・古法諸新流武術」もご覧ください。
大舘さんの研究の紹介記事↓も併せてご覧ください。
大舘さんは今年度の「日本哺乳類学会」北海道大会の大会長をされており、一般向けの公開シンポジウムも開催予定です。