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#137 地元と交流する臼尻水産実験所

函館市中心部から北東に約40km離れた、噴火湾の湾口部にある小さな岬。その弁天岬の先端部、三方を太平洋に囲まれた場所にあるのが臼尻水産実験所です。この施設は、ウエットスーツやアクアラング、水中スクーターなどの装備を使った、海中での生物調査・研究を得意としています。

先月、その実験所にほど近い地元の飲食店で、一風変わった卒論発表会風の交流会が行われました。それは、地域に根ざした大学のあるべき姿を垣間見ることができた一時でした。

【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】

(岬の先端にある建物が臼尻水産実験所)

(2019年6月に竣工した真新しい建物)

臼尻水産実験所は1970年に設置され、今年で50年目を迎えます。施設は海までたったの徒歩30秒のため、施設で潜水器具をすべて装備してから、スロープを歩いて潜水することが可能です。実験棟には海水が引き込まれており、多くの海洋生物を飼育しながら実験研究することもできます。さらに宿泊施設もあり、学内外の数多くの研究者や学生を受け入れています。その数は農学部・水産学部系の臨海実験所としては近年、年間のべ約4,000名と国内最多となっています。

(ウェットスーツなどスキューバダイビングの装備も充実)

(水中スクーターは海中を移動するのにとっても便利)

             (岬の西側、北側、東側の3方向にそれぞれ設置されているダイビング用のスロープ。写真は北側)

(実験所内で飼育されているダンゴウオ)

そんな施設も地元の人にとってはちょっと敷居の高い、いわば象牙の塔の雰囲気があったのかもしれません。しかしある日、「地元に研究所があるのに何も分からない。何をしてるのか是非1回聞いてみたい」と意を決して実験所の門をたたいた地元の方々のお声がけがきっかけで、今回の交流会は生まれました。

(まずは乾杯で喉を潤した後、自己紹介と続き、和やかなムードで始まりました)

2月某日夜、実験所から程近い飲食店に、北大から6名、地元から7名の総勢13名が集結。まずは所長の宗原弘幸さん(北方生物圏フィールド科学センター 教授)から、実験所の歴史や意義が話されました。実験所の概要を十分理解して頂いたところで、最初の発表は、濱野上龍志さん(水産学部4年)の「土俵の人工魚礁としての魚類蝟集能力とアイナメ類の利用」です。続いて、井鍋拓也さん(水産学部4年)が「カジカ上科魚類の繁殖様式と生殖口の位置に着目した形態学的研究」を発表しました。

(宗原所長の挨拶代わりの施設案内)


(土嚢を組み合わせた漁礁の効果について発表する濱野上龍志さん)

(井鍋拓也さんは、カジカ類が他の生物に卵を産み付けるかどうかを生殖口の位置に着目して研究しています)

最後の発表者は、潜水ガイドで水中写真家の佐藤長明さんです。佐藤さんは、宗原さんが専門とするクチバシカジカがきっかけで長く交流があり、その後も実験所のシュノーケリング教室ではインストラクターとしてお手伝いして頂くなど、実験所とは縁のある方です。佐藤さんからは、ご自身が撮影された臼尻の海とゴッコ(ホテイウオ)の素敵な写真や動画を紹介して頂き、交流会は終了しました。

(佐藤さんは南三陸でダイビングショップを営まれていましたが、東日本大震災で臼尻に移住。現在は臼尻と南三陸の2拠点でダイビングショップを経営しています)

今回の交流会では、地元の方からは実験所が建つ50年以上前の臼尻の海の様子など、貴重なお話を聞くことができました。これからもこのような機会を設けることで、実験所と地元の双方にとって有意義な時間をつくり、相互理解を深めて行きたいと思います。さらに、地元からの情報や要望が研究を進める一助になれば、地域貢献にも繋がるのではないかと期待しています。

(くつろいだ雰囲気で市民に向けて研究を語る姿は、さしずめサイエンスカフェならぬ科学居酒屋か)

—臼尻臨海実験所を紹介しているこちらの記事もご覧ください—

【チェックイン】#14 海辺のサイエンス拠点、臼尻水産実験所

(2012年11月26日)

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2020.03.19

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