2020年7月8日~26日、アドビ システムズ社主催のモバイルアプリデザインコンペ「Adobe College Creative Jam」が開催され、北大生4名(2チーム)がエントリーし、うち2名(1チーム)がフィナーレに勝ち進みました。
(企画の案だしをする北大チーム。
左から、米田さん、楊さん、平田さん、曹さん)
このコンペの挑戦者に課せられたテーマは、地球温暖化に伴う海水の温度上昇や酸性化によってサンゴが死んでいく「白化現象」と、日光照射への防御反応としてサンゴの死の直前に起こる「発光現象」を社会に伝え、問題解決につなげるためのモバイルアプリの制作です(注)。
2~3名でひとつのチームを組み、「Adobe XD」を使って3週間でモバイルアプリの企画からプロトタイプの作成までを行ないます。日本全国の大学から、およそ70チームがエントリーしました。
(アドビ システムズ社でオフィスアワーが設定され、
制作中に生じた疑問や悩みを相談することができた。)
北大生のエントリー作品は以下の2つです。
1. 「WALKING WALKING WAVE」
世界の海に点在するサンゴ環礁をモバイルアプリでバーチャルに感じながら、環礁の外周と同じ距離を仲間を集めて歩くチャレンジをサポートするアプリ。白化し始めてから死ぬまでの14日間が1チャレンジのリミット。サンゴ環礁の大きさと白化までの時間的リミットの両方を疑似体験できる。SNSとリンクさせて身近な仲間に呼びかけることで、徐々に活動の輪を拡げるしかけになっている。
チーム Cloud Fusioners
曹 中 さん(国際広報メディア・観光学院 修士1年)
平田 憲 さん(理学部 地球惑星科学科 3年)
2. 「サンゴにエールを」
サンゴや海洋環境保全のための署名を集めるアプリ。サンゴと共生関係にある褐虫藻は、水温が上昇するとサンゴから離れ、やがてサンゴは白化する。自分の褐虫藻をサンゴに届けるゲーム感覚のアクションによって、署名運動の可視化を目的としている。
チーム science communicators
米田夏輝 さん(経済学部 経営学科 4年)
楊 曄 さん(農学部 生物環境工学科 3年)
(Adobe College Creative Jamに作品を提出する際、アプリの仕様書も添付した。
写真は、チームscience communicatorsの「サンゴにエールを」のもの)
一次審査を通過したのは、全応募作品のうち10作品。そのひとつに、北大のチームCloud Fusionersの「WALKING WALKING WAVE」が食い込みました。
7月31日にオンライン開催されたフィナーレイベントで、一次審査を通過した10チームのプレゼンバトルが行なわれました。ウェブ絵本仕立ての子供向け学習アプリや、チャリティグッズ購入へ誘導するしかけになっているもの、サンゴの産卵をバーチャルで体験できるアプリなど、個性的なモバイルアプリが発表されました。
(Adobe College Creative Jamフィナーレ本番直前の、チームCloud Fusionersの曹さんと平田さん)
(Adobe College Creative Jamフィナーレのリハーサル中の曹さん)
北大チームCloud Fusionersの「WALKING WALKING WAVE」は惜しくも首位は逃したものの、サンゴがあまり身近ではない北国の住人ならではの視点を活かし、無関心層に訴える、もしくは関心層に行動を起こさせることに主眼を置いた、非常にオリジナリティの高い作品でした。
フィナーレに進んだ全10作品と審査員からのコメントは、こちらからご覧になれます。
(「WALKING WALKING WAVE」のオープニング)
また、チーム「science communicators」の米田夏輝さんが、翌週8月4日にオンライン開催された「Adobe Education Forum Online 2020」に登壇しました。コンペに参戦した学生の代表としてプレゼンを行ない、企画立案からプログラム制作までを通して学んだことを発表しました。
(Adobe Education Forum Online 2020で発表する米田さん。
全国の教職員、約300名ほどがzoomを通して視聴した)
(Adobe Education Forum Online 2020 リハーサル中の米田さん)
北大生の両チームとも、モバイルアプリのデザインも作成ツールとして指定されたAdobe XDに触るのも今回が初めてでしたが、誰に何をどのように届けることができるのかを意識して発信するということを実践的に体得する、良いチャンスとなりました。
注)
Adobe、パントン・カラー・インスティテュート、NPOのThe Ocean Agencyは、サンゴの生息域減少問題への意識の喚起と支援の呼びかけを目的としたキャンペーン「Glowing Glowing Gone – 光を放つサンゴたちの叫び」を、2019年に共同でスタート。今回のAdobe College Creative Jamは、このキャンペーンを広く知らしめるモバイルアプリの開発アイデアを募ったもの。