あらゆる味を屋台で楽しめる北大祭、遊びだって多種多様です。トランプゲームの王道「大富豪」も北大祭なら2種類楽しめます。その名も「有機大富豪」と「素数大富豪」。まずは大富豪のゲーム性に化学反応図のスゴロク要素をおりまぜた、有機大富豪を体験しました。
高等教育推進機構E302に伺うと、北大生…ではなく、現役東大生の2人に迎えられました。東大工学部4年生の新井一希さんと柳本絋希さんです。有機大富豪の面白さを伝えるため、東京から北大祭に初参戦しました。
早速教室でゲームプレイ。手渡されたのは「硫酸 (H2SO4)」「塩酸 (HCl)」「還元剤」…と書かれたカードの数々。化学物質をうまく駆使して反応を起こし、最も早く手札を使い切った人が勝者です。では、その化学反応を起こすための化合物はどこにあるかというと・・テーブルの上にありました。
例えばベンゼンからスタートした場合。手札に「硫酸」があれば「ベンゼンスルホン酸」、「塩素」があれば「クロロベンゼン」、「混酸」があれば「ニトロベンゼン」へと化学反応を進められます。スゴロクのような化学反応図に沿って使える手札を出す流れです。反応によっては生成する化合物が2つに増えたり、爆発物のTNTを作って盤面を振り出しに戻したりと戦略性が問われる仕掛けも盛りだくさん。ゲーム終盤には「あれ、水酸化ナトリウムを出せば中和できたのにパスした?ということは…」と相手の手札を予測する高度な駆け引きを楽しめます。
この有機大富豪、実は新井さんが高校時代の受験勉強中に考案しました。「最初は厚紙を切った手作りで、何度もテストプレイを繰り返しました。ゲームとして成立するか確かめて、大学に入ってから製品化したんです」と振り返ります。高校化学は有機大富豪で遊ぶうち自然と覚えたそうです。
有機大富豪の価格は1セット2,000円。ただし北大祭ならではの大チャンス、新井さんや柳本さんに有機大富豪で勝利すれば、半額の1,000円で購入できます。ちなみに筆者は1,000円で購入できました。知識がなくても楽しめる、むしろ楽しみながら知識がつく新感覚大富豪…ぜひ試してみてください。
【江口剛・CoSTEP本科生/水産科学院博士2年】