メインストリートの最南端で行われている農学祭エリアにおいて、ユニークな餃子が販売されています。農学部生物機能化学科の3年生の学生たちがつくる「行者にんにく餃子」。普通の餃子とは一味違った魅力的な餃子です。
行者にんにくとは北海道の山間部などに生息している山菜の一種です。にんにくは根の部分を食用として使用しますが、行者にんにくを実際に食用として使用するのは葉っぱの部分になります。この葉っぱの部分がにんにくのような香りがするとのこと。
「背丈が高い行者にんにくは香りが薄まってしまうので、背丈が20 cmくらいの行者にんにくを使っています」
そう話してくれたのは農学部生物機能化学科3年生の小原俊哉さん。
「一般的な餃子と比べて風味が濃くて味わい深くなっているのが特徴ですね。醤油などのタレもつけないでそのまま食べていただけますよ」
気になる行者にんにく餃子の風味を確かめるために、購入して実際に食べてみました。最初の食感は一般的な餃子とあまり変わらなかったのですが、後から口に広がる行者にんにく独自の風味が美味しさを一気に引き立ててくれました。包まれたあんの程よい塩加減も相まって、購入した行者にんにく餃子をあっという間に平らげてしまいました。農学部伝統の風味を楽しむことができました。
伝統の行者にんにく餃子を3年ぶりに販売するにあたっての課題点などについて小原さんと同じく3年の岩井純平さんにお話を伺いしました。
「一番苦労した点は、今までの行者にんにく餃子の味を再現することですね。自分も今まで食べたことが無いので試行錯誤の日々でした」
岩井さんを含め、今回行者にんにく餃子の出店に参加している学生たちは全員初めての北大祭。あんに混ぜるキャベツの湯で加減やひき肉に混ぜる塩加減の調整など、細かな味の調整を自分たちで行った上で試食会を2回実施して伝統の味の再現に取り組んでいきました。完成した行者にんにく餃子を、かつて学部生の時に出店していた大学院生の先輩に対して提供すると、「美味しいね!良くできているよ」と好評のコメントを頂いたそうです。
「行者にんにくは中々手に入らない山菜です。その行者にんにくをふんだんに使った餃子を食べられる機会はほとんどありません。農学部の伝統の味を少しでも多くの方々に味わっていただきたいです」
これからも農学部の伝統の味を守り続けていって欲しいと強く願った北大祭・2日目の午前中でした。
【小辻龍郎・CoSTEP本科生/環境科学院 修士1年】