道路の根雪もおおかた解けて、だんだん春らしくなってきた札幌。生き物たちが活発に動き始める季節です。キタキツネもそのひとつ。冬眠をしない彼らは厳冬期にペアをつくり、そろそろ出産の時期を迎えます。同時に、まちなかでのキツネの目撃情報や苦情が増え始める季節でもあります。
キツネは、エキノコックス症を媒介する、庭や菜園を荒らす、などの悪さをすることで、厄介者と評価されることもしばしばです。一方で、その美しい外見から道内外のカメラマン達の憧れの的となるほどの人気者でもあります。人との距離感の近さゆえに、厄介者と人気者、両方の顔をもつ都市ギツネ。私たち、街にすむ人間は、彼らとどのような関係性を保っていけば良いのでしょうか。
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北海道大学CoSTEP特任講師の池田貴子さんは、こうした街にすむ「都市ギツネ」の生態と、彼らと人間とのあいだに起きる様々な軋轢について研究しています。2019年度からは、月寒公園(札幌市豊平区)との協働で、エキノコックス対策や餌付け問題に取り組んできました。その報告会を兼ねたサイエンスカフェが、2023年3月28日(火)、月寒公園で開催されます。
カフェでは、普段の生活でできるエキノコックス感染予防法や、近年深刻になりつつある餌付けによる弊害など、キツネの近くで暮らすために必要な情報が提供される予定です。また、こうした情報共有だけでなく、公園利用者、公園管理者、行政といった公園をとりまく人々のあいだで、困りごとや思いを共有しあう時間も用意されています。カフェのあとには、公園内のキツネの巣や糞、足跡などの痕跡を観察する野外ツアーも企画されています。
※ 夏に開催された野外ツアーのようすはこちら
野生動物は人間のコントロールの効かない存在。都市ギツネとの共生をはかるには、近づき過ぎず遠ざけ過ぎず、物理的にも精神的にも適切な距離をとって接することが必要、と池田さんは言います。
「ただ、キツネかわいいから好き、と参加してくれる小さなお子さんもいます。特段、何かを勉強しようというモチベーションでなくとも、そのぐらいの気軽さで参加してもらえたら嬉しいです」
ふだん月寒公園を利用しない遠方の方ももちろん歓迎とのことです。野生動物であるキツネと人の適切な距離とは、いったいどのぐらいのものなでしょうか?カフェに参加して、キツネたちとのディスタンスについて思いを語り合ってみてはいかがでしょうか。
月寒公園パークライフカフェ「キタキツネ」
日 時 2023年3月28日火曜日 13:00-15:00
※ 野外ツアーはカフェ終了後 15:30-16:30
場 所 月寒公園パークライフセンター
対 象 小学校4年生以上
定 員 20名 ※ 定員になり次第、締め切ります。
参加費 高校生以上 500円、小中学生 100円
講 師 池田 貴子(北海道大学 高等教育推進機構 CoSTEP 特任講師)
進 行 宮本 奏(NPOファシリテーション きたのわ 代表)
参加者全員に、月寒公園で撮影されたキツネ葉書をプレゼントします。
月寒公園webサイトよりお申し込みください。公園へのお電話や窓口でも受け付けています。