地球環境科学研究科を卒業(2002年)し、ロート製薬株式会社で広報・CSV推進部のグループリーダーを務める山田悦子さん。「イキイキとした大学生活を送ろう☆」と題して、学部1年生向けに講義を行いました。
山田さんから送られた学部1年生へのメッセージの一部を紹介します。
将来の自分を「妄想」してみよう
「あなたはビジョンを持っていますか」と質問されると難しいですね。今日の授業では、「妄想」という言葉を使いましょう。1分間目をつぶって自分の好きなこと、やりたいことを妄想して、ノートに書いてみてください。
では、どうやって自分が妄想したことに近づいていきますか。みなさんがやりたいことを実現していくための手がかりとして、これから私の経験をお話していきます。
(ノートに妄想したことを書く学生)
米国で過ごした6年間
留学したのは高校1年の時でした。留学先は、米国東海岸にあるロードアイランド州のMOSES BROWN SCHOOL。高校卒業後は、西海岸にあるカリフォルニア大学サンタバーバラ校へ進学しました。サンタバーバラ校は、大学生・院生合わせて約2万人在籍していて、東海岸に比べるとアジア人の割合が多いのが特徴です。キャンパスは海に囲まれ、自然が豊かでとても美しいところでした。海が近いこともあって、学生の半数近くがサーファーでした。
その自然豊かなサンタバーバラ校で、生物学を専攻しました。少人数制で1年生から授業と並行しながら専門の研究ができる恵まれた環境で3年間過ごしました。西海岸に生育する在来種を保全する活動をしていた先生のもとで学び、毎日調査のために海岸に行き、裸足で駆けずり回っていました。
(講義をする山田悦子さん)
植物生態学を学びたくて北大へ
大学を3年で卒業し、日本に戻ってきました。英語が話せるというだけでは仕事を探すのは難しく、自分が本当に何をやりたいのか考え抜きました。やはり植物生態学の勉強を続けたいと考え、いろいろと調べていた頃、東京の大学で教鞭をとっていた大原雅先生と出会いました。ちょうどその頃、大原先生が北海道大学へ移るという時期だったので、私も地球環境科学研究科を受験することに決めました。
北大に入学後は、大原先生の研究室で、2年間、スズランの2つの繁殖様式を研究しました。大学院時代は研究に没頭し、日本生態学会北海道地区会の第一回若手奨励賞を受賞しました。研究は大変なこともありましたが、今思うと、自分の好きなことに打ち込むことができた贅沢な時間でした。
(恩師の大原雅先生も授業に参加していました)
ものづくりがしたい。ロート製薬株式会社へ。
植物生態学を学んできたので造園業に進みたかったのですが、募集をみると「高卒以上、力持ち、男性」とあり断念しました。性別までは変えられませんからね(笑)。そこで、食べることは好きでしたし、ものづくりもしたかったので、食品関係の企業を中心に就職活動をしました。
これまで、5つの部署を経験しました。2~3年ごとにジョブローテンションしています。大阪本社から東京オフィスに戻りたいという希望を出していたのに、はるか東のアメリカまで異動したこともあります(笑)。今は、マーケティングやPRの部署にいて、女優の前田敦子さんを起用して化粧水「極潤」のCMづくりを担当した経験もあります。仕事で必要なことは、とことん考え抜く力です。マーケティングに正解はありませんから、自分で考えることが必要なのです。
(ロート製薬株式会社で経験した仕事)
学生のみなさんに伝えたいこと
今のみなさんに一番伝えたいことは、とにかく、楽しく、イキイキとした学生生活を送ってほしいということです。みなさん自身がイキイキしていれば、周囲の人もイキイキしてきます。そして、たくさんの人に会って、いろいろな考え方を知り、何事も試してみることが大切です。どんな経験でも、たとえ失敗であっても、必ず糧になります。
これからの進路は人それぞれです。ウェブを検索しても答えは出てきません。そこで必要になるのが、自分で考え抜く力です。大学の4年間を大切にして、自分で考えたことを行動に移してみてください。
質疑応答の時間では、「大学時代に影響を与えた価値観はありますか」「一番達成感のあった仕事は何ですか」「アイデアを生み出す秘訣はなんでしょうか」「山田さんは働き続けますか」と次々に質問があり、講義が終わった後も15名ほどの学生が残って質問していました。山田さんは、笑顔で丁寧に回答されていました。
山田さん、ありがとうございました。
(女性の働き方について質問する学生)
(講義後も熱心に質問する学生と山田さん)
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山田さんが講義したのは、全学教育科目の「大学と社会」(木曜日5講目)です。次回は11月20日、講師は、工学部出身の堀邦紘さん(日本エリーズマグネチックス株式会社)です。