皆さんは恵迪寮に対してどのようなイメージを持っていますか?「髭が生えている」「留年する人が多い」「変わった人ばかり」「ちょっと怖い」(執筆班調べ)・・・。もちろんそんなマイナスな部分だけではないけれど、まあそれほど遠くもない恵迪寮の実態について迫っていきます!私たちは今回、恵迪寮の大部屋で複数人と暮らしている中村太洋さん(水産学部1年)と、個室に暮らしている山原百葉さん(総合理系1年)にお話を伺いました。この記事が恵迪寮入寮を考えている新入生の手助けとなれば幸いです。
さーて、では潜入!
【月森光一/総合理系1年、疋田彩乃/歯学部1年、森尾紳平/総合理系1年、山下皆実/総合文系1年、渡辺麗菜/法学部1年】
恵迪寮は、115年もの歴史を持つ学生寮です。日本三大自治寮の一つにも数えられており、独自の文化が今もなお引き継がれています。外観はツタに覆われていて威厳があり、なんだかちょっと入りづらいです・・・。
ここからは中村さんと山原さんにお話を伺います。
中村:中村さん 山原:山原さん イン:インタビュアーである執筆班
なぜ恵迪寮に?
イン:
お二人はどうして恵迪寮に住もうと思ったんですか?
中村:
北海道大学の水産学部を受験したいと思って、それからどこに住むか考えました。水産学部は3年生からキャンパスが函館になるので、2年間しか札幌にいない。2年間だったら面白そうな恵迪寮に入ったほうが楽しいし、キツくなっても抜け出せると思ったんです。恵迪寮をSNSで見て、入りたいと思う気持ちがどんどん大きくなっていきました。周りの1年生の話を聞くと、ブログをよく見ていて入りたいと思った人も多く見られますね。
山原:
私は寮費の安さでここに決めました。実家は兄弟が多いので、なるべく安いとこで抑えようって思った時に、北海道の寮の寮費がすっごく安かったので、申し込みました。
イン:
山原さんは入居前にSNS等を見ていましたか?
山原:
SNSは全く見ないまま前情報なしで来たので、赤フンを履くことぐらいしか知らなかったんですよ。でも入居してから、いろんな企画があるたびに、それってどんな企画なのかを確認するためにブログを見るようになりました。
「自治」とは?
恵迪寮の自治とは、簡単にいえば寮生同士がより良いものや快適な生活を話し合いによって目指していくというものです。恵迪寮内では「委員会」というものが多数設立されており、その活動をとおして自治会としての方針を決めているといいます。
イン:
恵迪寮は自治寮とのことですが、具体的にどのようなことをするんですか?
中村:
僕も入って数ヶ月なのでそんなにガッツリ説明できるわけではないんですけど、簡潔に言うなら、お互いに文句というか不満があった時に、すりあわせて納得できる環境を、寮全体で作っていくが、恵迪寮の自治です。話し合いのシステムですね。個人間であれば、例えば上の階の部屋がうるさい、みたいなときには当人同士で話し合って折り合いをつければいいんですけど、深夜にドラムがうるさいなど、寮全体の問題になる場合は問題提起する人が何人か集まって、深夜にこういうことをしないでほしい、とかこうすべきじゃないのかという議案を作って、それを寮に提出する。それをみんなで読んで、各部屋で意見を言い合って、最終的にその議案が通るかどうかを全寮で決をとって決めるって感じですね。全寮の意見を、ある程度はちゃんと寮のルールに反映さできる仕組みだと思っています。
イン:
自治の一環として委員会があるということですが、それってなんでしょう?
中村:
そうですね。寮の自治に関わる執行委員会とか、いろいろ企画する文常委員会(文化活動常任委員会)とか、環境整備特別委員会とかいろいろあります。それぞれに委員長がいて、寮長は執行委員会の執行委員長を兼ねています。その下に小委員会とかいろいろある感じですね。
イン:
お二人もなにか委員会に入っているんですか?
中村:
僕は執行委員会に入っています。
山原:
私は士幌委員会(士幌小屋チセ・フレップ運営特別委員会)に入っています。士幌町に委員会が管理している別荘があるんですが、夏休みなどの長期休暇にみんなで行くツアーを考えたり、士幌町の人の学習サポートや夏祭りのお手伝いをしたりして、町との関わりをつなげたり深めたりする委員会です。誘われて、楽しそうだなと思って入りました。
「共用棟」の設備
恵迪寮は、網走監獄のようなパノプティコンの構造です。中心に共用棟があり、そこから放射状に6つの棟が配置されています。各棟とも1階から5階まであり、寮生の居住スペースになっています。一つのフロアに「プロック」と呼ばれる部屋の単位が2つあり、1ブロックあたり10数人が暮らすことができます。ちなみにF棟は留学生や院生の住むところで、自治会の管轄ではない大学管理の施設なんだとか。
中村:
恵迪寮を上から見て時計回りに、A→B→C→D→F→E棟となっています。
イン:
あれ、E→F の順じゃないんですね!
中村:
F 棟は恵迪寮の中でもちょっと違う場所なんです。留学生や院生がいる別のアパートだと思ってもらえれば。
イン:
留学生は委員会には参加しないんですか?
中村:
はい、基本的に自治には参加しないですね。
上の写真は恵迪寮の中心にあるホール。ここにはピアノ、卓球台、ダーツ、ギター、太鼓となんでもそろっています。ここで皆で寮歌を歌ったりレクリエーションをしたり、「スペシャル」を食べたりするそうです。これぞ、THE 恵迪寮。古きよき伝統を感じます。
イン:
恵迪寮は汚いと思ってた・・・けどめっちゃ綺麗だなと思った!落とせない汚れ以外は綺麗。
中村:
そう、ペイントとかあるけどほとんど散らかっている感じはないですよ。
イン:
ここにあるものはみんなで共有して使えるんですか?
中村:
そうですね。共有スペースにあるものは大体使えます。ドラムもそこに置いてあるピアノも、弾きたい人が弾いていますね。
2階からドラムを練習している大きな音が・・・
イン:
あれはどういう人がやってるんですか?
中村:
個人的な練習じゃないですかね。サークルかもわかんないですけど、特に何があるわけでもないです。
イン:
太鼓はどういう時に使うんですかね?
中村:
太鼓は企画をするときにそろそろ始めるよーってタイミングで鳴らすベルの役割を果たしていたり、あとは寮歌歌うときに伴奏みたいな感じですね。
イン:
寮歌といえば「都ぞ弥生」が一番有名ですよね。寮生ならみんな大好きで浸透しているイメージなんですが、実際どうですか?
中村:
そうですね。めちゃくちゃ歌う曲ではあります。なんか企画する時とかみんなで飲み会行った時とか、そういう時の最後に締めとして歌いますね。
さて、ここまでは恵迪寮の自治システムと共用施設について紹介してきました。後編ではいよいよ、どんなお部屋で毎日どんな生活をしているのか、ひきつづき中村さんと山原さんのお二人に伺います。お楽しみに!
《後編に続く》
この記事は、月森光一さん(総合理系1年)、疋田彩乃さん(歯学部1年)、森尾紳平さん(総合理系1年)、山下皆実さん(総合文系1年)、渡辺麗菜さん(法学部1年)が、一般教育演習「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果です。