前編では、恵迪寮の建物内部の構造、共用部分の施設、自治についてご紹介しました。後編ではいよいよ、寮生が生活するお部屋についてのお話です。前回にひきつづき、恵迪寮の大部屋で複数人と暮らしている中村太洋さん(水産学部1年)と、個室に暮らしている山原百葉さん(総合理系1年)にお話を伺いました。この記事が恵迪寮入寮を考えている新入生の手助けとなれば幸いです。
さーて、では再び潜入!
【月森光一/総合理系1年、疋田彩乃/歯学部1年、森尾紳平/総合理系1年、山下皆実/総合文系1年、渡辺麗菜/法学部1年】
中村:中村さん 山原:山原さん イン:インタビュアーである執筆班
部屋を「建てる」
イン:
恵迪寮は男女混合寮ですが、部屋分けはどのようにされているんでしょうか?
中村:
防犯の観点から女子の住める場所は決まっているので、そのなかで部屋(ブロック)を建てて(つくって)もらいます。それ以外のところで男子が部屋を建てるという感じです。なので男子が住む場所と女子が住む場所はある程度分かれています。
イン:
入寮時に自身が住む部屋を決めると思うのですが、個室はどうやって勝ち取ったのですか?
山原:
寮の先輩に色々な部屋を見せてもらってどの部屋にするか決めるんですけど、個室の部屋数も多くて争奪戦にならずに済みました。
イン:
大部屋はどうですか?
中村:
大部屋の魅力はやっぱり人がいっぱいいるところでしょうか。いろんな人がいるし、交流が盛んだから得られるものもありますね。
イン:
一部屋に何人ぐらい住んでいますか?
中村:
部屋にもよりますけど、Aブロックだと通常は十数人かな。
イン:
めちゃくちゃ名前書いてある大きな紙あるんですけど、あれは?(下の写真)
中村:
あれは部屋の名簿みたいなもんですね。
イン:
名簿!なんで張り出してるんですか?
中村:
ついこの間の部屋替えで新しい部屋が建てられたので、その新しい部屋の告知です。A棟の 1 階にはこの子が住んでるよ、と。「個」「複」とあるのは、個室なのか複数部屋なのかを示しています。部屋の名前も「部屋趣旨」も自分たちで決めて、それに賛同する人たちが入ってくるって感じですね。
イン:
どういったタイミングで部屋替えをするんですか?
中村:
半年に1回、年に2回です。今は第321期なんですけど、期が変わると委員会も部屋も全部入れ替えがあります。
イン:
第 321期?!そっか、115 年の歴史があるんですもんね!
新入生が入寮したら2か月で部屋替えが行われるとか。もし自分に合わない部屋だったとしても、頻繁に部屋替えがあるならちょっと安心ですね。
どんな部屋割?
ブロックには2種類あります。複数人が一室を共有する「大部屋」と、一部屋を1人で使う「個室」です。大部屋と個室では生活の様子が大きく異なります。詳しく伺いましょう。
イン:
どの棟も「内側」と「外側」があるんですね。
中村:
はい。棟の真ん中に階段があって、その階段を挟んで両サイドに内側、外側と分かれています。各ブロックは「ブロック扉」で分けられていて、鍵がかかるようになっています。
イン:
ブロックの中には部屋がいっぱい並んでいるんですか?
中村:
そうです。キッチンとトイレは各ブロックごとに一箇所ついています。
どんな生活?
1.1日の過ごし方
イン:
1日の生活を教えてください。
中村:
朝は普通です。学校に行く10 分くらい前に起きて 5 分くらいで準備して、授業受けてお昼に帰ってきて、ご飯を頼むとかぼーっとしたりしてゆっくり過ごします。午後は、3 限以降の授業があったら行って、寮に帰ってきたらそこからは基本的にみんなで部屋でグダグダしています。僕は夜に執行委員会の仕事があったりするので、それが終わったら大部屋に戻って、昨日は朝までしゃべってそれから寝たから、今日は16時半に起きたって感じです。
山原:
私は、だいたい 朝は8 時ぐらいに起きて準備して、学校に行って夕方くらいまで学校にいて、バイトがなければそのまま帰ってきて部屋でいろいろしたりして 12 時ぐらいに寝ます。バイトがある日は、寮に帰ってきてお風呂入って寝て・・・みたいな普通の生活です(笑)。
イン:
同じ寮生なのにだいぶ生活の様子が違うんですね(笑) 。
恵迪寮は北海道大学の敷地内にありますが、それでも学校に「行く」感覚なんですね!確かに授業を受ける建物まではちょっと距離があります。もしくは、自治の精神をもつ寮生ならではってことでしょうか。
2.食事
イン:
食事はどうしていますか?
中村:
人によって全然違うんですけど、うちの大部屋には「エッセン」といって2〜3人が交代でそのブロックに住んでいる全員分の料理を作る文化があります。昼は学校で食べたり、時間があったらみんなで食べに行きます。
山原:
個室の場合は、生活リズムが人によってバラバラなので、自分で食材を買って個室にあるキッチンで自炊することが多いです。
3.勉強
イン:
勉強はできますか?
中村:
大部屋でも、勉強しようと思えばできる環境ではあります。僕はどっちかっていうと勉強してない側の人間ですけど、勉強部屋もあるし図書資料室も使えるので勉強する設備は整っています(前編の記事を参照)。勉強する人もいれば勉強しない人もいますけど、これは恵迪寮に限ったことではないですね。
山原:
個室だと勉強はかなりしやすいと思います。私の住んでいるブロックは部屋にこもっている人が多いので、ほぼ1人暮らしの感覚に近いと思います。たまに騒音があったりしますけど、気になるほどではないです。
4.掃除
イン:
畳とか壁とかボロボロで全体的に汚いじゃないですか。そういうのって気になりませんか?
中村:
気になりはしますよ。でもあるものはあるもので使うって感じじゃないですかね。共用スペースは週に1回当番制でみんなで掃除することになっているので、綺麗にしているつもりです。
山原:
個室に住んでいる人で週に1回当番を決めてトイレ掃除とかをしています。あと、壁を塗ったり床にフローリングシートを敷いたり、部屋のカスタマイズが自由なのは個室ならではですね。自分好みにできますよ。
5.余暇の過ごし方
イン:
共用スペースの楽器や漫画のほかに、余暇は何をしているんですか?
中村:
普段はスマブラとかしたり、みんなでアニメや映画を観たりして過ごしてますかね。
イン:
テレビは?
中村:
テレビ線も通っていますが、地上波よりかはfirestickTVとか、あとはゲーム機に繋いだりしてますね。あんまり普通にテレビを見る人はいないです。
6.生活費
イン:
1ヶ月にどのくらいお金を使いますか?
中村:
電気・水道代込みで 15,000 円です。大部屋でみんなで割り勘でご飯を作ったりしますし、食事代含めても1ヶ月で 3 万円かからないと思います。
山原:
個室だと3〜4万あれば 1ヶ月生きていけると思います。
さいごに
みなさん、楽しんでいただけましたでしょうか。インタビューにご協力くださったお二人に、恵迪寮への入寮を考えている人に向けてメッセージをいただきました。
中村:
大部屋は、とにかく部屋にいれば人がいて、時間があっという間に過ぎて楽しいです。いつも誰かいるっていうのが魅力です!
山原:
部屋によって関わり方が選べるから、人といたかったら一緒にいられるし、それだけじゃなくて自分で機会を作れば人と関われるし、勉強したり1人になりたかったら部屋にいる・・・みたいに、その時したいことによって選べるのが魅力だと思います。
古き良き伝統を持った自治寮、「恵迪寮」。全体の決まりごとはみんなでしっかり守ったうえで、比較的自由に、自分に合った生活スタイルを選べるって、自律的で素敵ですね。入寮をお考えのみなさん、北大生になったからには、一度この素敵な空間で生活してみるのも良いかもしれませんよ。
この記事は、月森光一さん(総合理系1年)、疋田彩乃さん(歯学部1年)、森尾紳平さん(総合理系1年)、山下皆実さん(総合文系1年)、渡辺麗菜さん(法学部1年)が、一般教育演習「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果です。