2018年10月6日(木)未明の地震直後からの大規模停電は、大量の電力に依存する大学に大きな影響を与えました。
メダカを使って研究を進めている横井佐織さん(薬学研究院助教)に、停電で実験生物の飼育にはどのような影響があったのかをお聞きしました。
幸いにも、地震によるメダカへの影響はありませんでした。しかし、隣の水槽に移動したメダカがいたなど、混乱はありました。
実は、この水槽ラック自体が耐震設計になっており、二つの水槽が上部の柱によって連結されているとのこと(下写真)。
また、水槽ラックの扉も閉めていたため、揺れによる影響を抑えられたのではないかと、横井さんは語ります。
木曜日の地震発生直後から始まった大規模停電停に関しては、薬学部にある実験生物用の非常電源で飼育は維持されていました。しかし停電中は給餌を控えるなど、最低限の飼育の範囲にとどまったそうです。金曜日には研究室の電気は回復しました。
「停電が長く続くと、メダカたちへの影響はもっと出ていたかもしれません。ただ停電時に餌やりを控えていたこともあり、卵はまだあまり産んでくれません」
今回は被害は少なかったものの、今回の震災を受けて横井さんも不測の事態に対する対応を改めて考えたそうです。実験生物は多地点に分散して保存するなどの対策が考えられます。例えば、大学連携バイオバックアッププロジェクト (通称、IBBP)では、 このような事態に備えて生物資源をIBBPセンターと国立大学のサテライト拠点で生物資源を保管することが進められています。このプロジェクトは東日本大震災がきっかけに始まったプロジェクトだそうです。
地震大国の日本において研究環境を維持していくためにはどのような対策が必要か。震災を契機に、被害を受けた大学だけでなく、日本の研究ネットワーク全体で考えていく必要があるでしょう。