(自身のフィールド経験について説明する谷内さん)
「研究者」とは
【小島 昂大・登別明日中等教育学校4回生】
研究者とはどのようなものなのか。今回私は火成岩岩石学・地球化学の研究をしている谷内元さんにお話を伺った。現在、谷内さんは北海道大学で研究をしている。東京都出身の谷内さんは、中学生の頃から北海道大学に憧れて、入りたいと言っていたそうだ。谷内さんの研究は外で活動することが多く、1年のほとんどを野外調査に充てている。そんなに野外調査ばかりしていて体はもつのか疑問に思うが、谷内さんは学生時代にワンダーフォーゲル部に入っていたので、山に登るようなことには慣れているらしい。野外調査ができない冬の間は、主に採取した岩石の分析をしている。
谷内さんに研究をする上での楽しみについて聞いてみた。すると谷内さんは「誰も見たことのない世界を、誰よりも早く見ることができることです。」と言った。研究とは、今まで誰も発見していないものを見つけ出すこと。誰よりも早く未知の世界を見ることができるのは、研究者の特権だと谷内さんは言う。今回のこの体験で私の研究者のイメージをはっきりさせることができた。
(分析は、採取した岩石を粉々にして、1000℃以上の熱で溶かし固めたものを使う)
鉱石と岩石を鑑定する機械
【吉中 洸貴・北海道登別明日中等教育学校4回生】
私は鉱石というものを小学生や中学生に教えるプログラムを作成、運営している。そのプログラムの中で「この石なんていうの」とよく聞かれた。そのとき私は「図鑑やルーペを使って調べて見て。」と対応している。プログラム中に鉱石の鑑定に使ってもらう道具はルーペと図鑑のみだ。肉眼鑑定してもらう道具としては少ないような気がする。実際はもっと必要な道具は多い。もっと詳しく精密に調べるためには高額な機械を購入するしかない。今日は谷内さんの案内のもと肉眼鑑定より詳しく、また精度の高い鑑定をする機械を見せてもらった。そもそも鉱物と岩石の違いとはなんだと思う方もいるかと思う。谷内さんに教えてもらったが簡単に言うと岩石とは鉱物の集合体だ。鉱物は物理的・化学的にほぼ一定の特徴を示し、結晶体になっているものを指す。鉱物と岩石には明白な違いがある。今回の案内で私が1番印象に残ったものは鑑定する機械だ。普段、肉眼鑑定しか行っていない私にとってはものすごく興奮する機械だった。実際にあの精密機械を購入するとなるといくらかかるのか想像もできない。今回の谷内さんの案内でいろいろなものを見させていただき、また質問もさせてもらった。今後この経験を生かして頑張っていきたい。
フィールドワーカーの覚悟と努力
【濱田 悠輝・北海道登別明日中等教育学校4回生】
谷内さんのように研究に携わる人は夏の間、ほとんどがフィールドでの活動になる。生物系や古生物学などの研究をする上でもフィールドでの活動が基本になる。谷内さんは火成岩岩石学を専門としていて、利尻島を始めとした国内の山やロシアなどの海外の火山[谷内 元3] にまで赴くという。時には研究材料を集めるために立入禁止区間などでも特別許可を得て調査を行なっている。そのため、落石などの危険と常に隣り合わせである。そのような危険があってもやり続ける強い覚悟が研究する上では必要であると思った。このようにたくさんの地で活動を行っている谷内さんは、フィールドなどの調査において位置情報を得るための手段をGPSだけに頼ることは危険であると言っていた。これだけ技術が発展している現在でも、GPSにズレが生じることがある。それが、事故に繋がってしまったり、論文を書く際に問題となってしまったりする可能性もある。そのため、地図やコンパスを使い自分の位置を確認する能力は必須だという。今回のお話を聞き、岩石のフィールド調査や研究では、これらの覚悟やスキルが必要であることを知った。興味を持つということも大事だが、それだけでなくそれを追いかける上で必要な能力を得るための努力が重要であることを学ぶことができた。私は、将来恐竜の研究に携わることを目標としている。これらの学んだことは、恐竜の研究をする上で必ず生きてくる。自分がこの目標を達成することができたとき、今回の谷内さんのお話を思い出そうと思う。
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この記事は、北海道登別明日中等教育学校のインターンシップにCoSTEPが協力して実施した成果の一部です。
【取材:小島 昂大、吉中 洸貴、濱田 悠輝(登別明日中等教育学校4回生)+CoSTEP】