毎年8月に農学部前で開催される食と農の学生イベント「北大マルシェ」。今年で7年目を迎える同イベントは、2日間で約8千人が訪れ、北海道各地の農産物や生産者と触れ合う人気の場になっています。
今年は8月20日と21日の開催で、テーマは「どさんこあぐり〜あなたが支える食と農〜」です。これまで、北大マルシェのテーマでは食べ物に焦点を当ててきました。今年は一転して、「担い手」という切り口から、北海道農業の現状を多くの人に知ってもらいたいと準備を進めています。
マルシェ本番まで後一カ月となったこの日、「農家になりたい? YESかNO(農)か?」と題したワークショップが開かれました。実行委員の大学院生たちが、テーマである「担い手」の問題について議論するためです。
【千脇美香・CoSTEP本科生/社会人】
農家になる? ならない?
北大マルシェの打ち合わせを終えた実行委員の大学院生たちが、続々と農学部の教室に集まってきました。今日7月19日は、北大マルシェプレイベント「農家になりたい?YESかNO(農)か?」の開催日です。
このプレイベントの企画は、橋本尚弥さん(農学院 修士1年)の「農学を学ぶ学生の中に、農家を職業としたい人はいるのだろうか?」という疑問からスタートしました。実際に農業を職業にしている大川聖士さんと萩原雅樹さん、農業関係者へ取材を行っている林真由さん(『北海道食べる通信』編集長)をゲストスピーカーに迎え、マルシェ実行委員会の大学院生が中心となり、農家になることも考えているYES側と、農家にはならないNO側に分かれて、ワークショップが始まりました。
(左にYES、右にNOと分かれて議論しました)
NO側から「総合入試の理系で入ってきた半数の学生は、農業に関する研究がしたくて、農学部を希望します。農業と農学部は違います」と意見が上がりました。1876年に開校した北大の前身、札幌農学校。その格式と伝統に憧れ、北大の門をくぐる学生はたくさんいます。彼らは、農学部にいるからといって実際の農業をやりたいわけではなく、最先端の研究がしたいと大志を抱き、研究室の扉を叩くのです。
(熱心にメモを取りながら議論に耳を傾けていました)
一方、YES側の学生からは「自分の暮らし方を確立していて、農業という職業とライフスタイルをセットで見た時、とても魅力のある職業だと思います」と、真剣な眼差しで話をしていました。
(実家が農家で将来は田んぼを継ぐと話す学生さんもいました)
農業とどう関わるか?
学生の話にジッと耳を傾けていた大川さんは、「農業には、生物、化学、物理の知識が必要になります。年数が経てば経つ程、勉強が生きてきます。だから、農家になることは学歴を無駄にすることじゃないんです」。東北大学大学院農学研究科修士課程を修了し、農家になった経験から、学生たちに向け丁寧に語りかけました。
(学生に向けて語るゲストの大川さん(左)と、林さん(中央)、萩原さん(右))
萩原さんは「専門的なことを学んでいる皆さんは、育種や流通などの改善の面で農業に関わってほしい」とお話ししました。また、林さんは「職業にするかどうか、という“担い手”ではなく、“担い方”という捉え方もあるのではないか」と、新しい視点を示してくれました。一口に農業といっても多様な担い方があります。今学んでいることを生かし、農業に携わっていくことも農業の担い方だと気づくきっかけになったようです。
(最後には、北大マルシェ責任者の小林国之さん(農学研究院 准教授)からのコメントもありました)
議論を終えて ~マルシェ本番への意気込み~
参加した学生のひとり、杉江一磨さん(農学院 修士1年)は「過酷で苦しいだけのイメージから、楽しい側面があるとわかり、職業の選択肢に農家が加わりました」と、感想を話していました。
今年、実行委員長を務める國本英樹さん(農学院 修士1年)は「マルシェ本番は農作業体験や生産者とのトークイベントを企画しています」といい、「消費者と生産者が一対一で向き合い、お互いの距離を縮め、少しでも農業に興味を持ってもらいえれば」と、言葉に力を込めました。
(実行委員長の國本さん)
(最後に集合写真を撮影)
来場者数1万人を目標に掲げた「北大マルシェ2016 どさんこあぐり~あなたが支える食と農~」は下記の日程で開催予定です。
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北大マルシェ2016 どさんこあぐり~あなたが支える食と農〜
日時:2016年8月20日(土)、21日(日)10:00〜16:00
場所:北海道大学農学部前
詳細は【こちら】
—-過去の北大マルシェを紹介しているこちらの記事もご覧ください—-
(2014年7月28日)
(2014年8月23日)
【ジョインアス】肉も野菜も満載の北大マルシェ、豚の丸焼きは24日(日)!
(2014年8月23日)
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