現在、日本の原発全60基のうち、24基が運転を終えて取り壊すことが決定しています。では、原発を解体したときに出てくるごみはどうなるのでしょうか。放射性廃棄物には大きく分けて2つの種類があり、そのうち原発の解体で発生するものは低レベル放射性廃棄物に区分されます。大型の原発一基を解体すると、およそ5500トンから9000トンもの低レベル放射性廃棄物が発生すると見積もられています。
では、低レベル放射性廃棄物の問題は何でしょうか。ひとつは廃棄物中に含まれる放射性物質の半減期の長さです。半減期とは放射性物質の寿命を表わします。低レベル放射性廃棄物は半減期が比較的短いものが多いのですが、ニッケル59:半減期7万6千年、テクネチウム99:半減期21万1100年、ヨウ素125:半減期1570万年と、なくなるのに時間がかかるものもあります。
今のところ、低レベル放射性廃棄物はコンクリートで固めて地中に処分する、という処分方法が最良であると考えられています。しかし、何千年後、何万年後、放射性物質は地中から地表へ出てこないのでしょうか?この将来の安全を考えるために、様々な観点で研究が行われています。
私は、コンクリートが放射性物質をどのように止めるのかを研究しています。コンクリートは放射性物質の流出を止めることができます。私はそのメカニズムを研究しています。放射性廃棄物の処分はとても重要な課題です。コンクリート中の放射性物質のふるまいを理解することで、遠い未来の安全をより確実に保障することができます。
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■参考情報
原子力発電環境整備機構(NUMO)サイト
Q.地層処分以外の処分方法はないのですか?
https://www.numo.or.jp/q_and_a/faq/faq100072.html
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この動画は千賀匠(北海道大学工学院 エネルギー環境システム専攻 修士1年)さんが、大学院共通授業科目「大学院生のためのセルフプロモーション2」の履修を通して制作したものです。
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千賀さんの所属研究室はこちら
原子力環境材料学研究室
https://nucl-mater.hokkaido.university/