勉強や進路のこと、サークルのことや友人関係、学生生活に不安は付き物です。北大生が抱える多様な不安に応えるための組織や活動が、北海道大学には整備されています。「学生相談ピアサポート」はその一翼を担う、学生による学生のための支援活動です。
学生相談ピアサポートの学生たちは、日ごろより寄せられた相談に寄り添ったり、オンラインの勉強会を企画したりと、精力的に活動されています。今回は、学生相談ピアサポートのメンバーである平山義規さんと濱島 慶介さんに日ごろの活動や最近の試行錯誤について伺いました。
【小林 良彦・CoSTEP特任助教】
学生相談の中心を担う学生相談総合センター
学生生活では、履修や勉強の方法、学部・学科選択や就職といった進路、友人関係、といった悩みを抱えることもあります。北大生が抱えた悩みや相談ごとに応じるために、2018年8月に学生相談総合センターが立ち上がりました。
学生相談総合センターは、学生相談室、留学生相談室、アクセシビリティ支援室、という3つのセクションによって構成されており、それぞれに携わる学生組織も配置されています。学生組織は「ピアサポートユニット」と呼ばれ、「北海道大学の学生が本学の他の学生に対して、助言その他の支援を行い、本学の学生が学生生活に適応すること及び学生生活を充実させることに資することを目的」としています。
ピア(peer)とは「仲間」という意味を持っており、ピアサポートは、学生による学生のための支援活動と言えます。今回は、ピアサポートユニットの中で学生相談部門を担う「学生相談ピアサポート」が活動している「ピアサポートルーム」にお邪魔し、平山義規さん(農学院修士1年)と濱島慶介さん(教育学部3年)にお話しを伺いました。
皆さんが日ごろ活動されているピアサポートルームはどのような場所なのでしょうか。
平山さん:ピアサポートルームは、平日の12:00~16:15までオープンしているフリースペースです(現在は12:00~14:30電話・メール相談のみ)。自習しても良し、ご飯を食べても良し、何をしても大丈夫な場所というがアピールしたいところですね。さすがに他の人の迷惑になるようなことは控えてもらいたいですけど(笑)。
ピアサポートルームはフリースペースなのですね。皆さんはそこで、どのような活動をされているのでしょうか。
平山さん:留学生交流会などの学生同士が交流するイベントを企画したりしています。それと、ピアサポートは“つなげる”役割も担っています。ピアサポーターと学生を“つなげる”、学生同士を“つなげる”、学生を別の相談窓口に“つなげる”という役割です。
「物理のこの問題が分かりません」という質問が来たときは、ラーニングサポート室に“つなげる”ことをしたり、悩みごとを抱えている学生がいた場合は、もちろん僕たちも話を聞くんですけど、学生相談総合センターにはカウンセラーの先生もいらっしゃるので、必要なときはそちらに“つなげる”ことにしています。
“つなげる”活動、重要ですよね!他の相談窓口では対応していない質問なども、皆さんのもとには寄せられたりするのでしょうか。
濱島さん:バイトの相談とかもありますね。バイトは何が良いですか、とか、バイトはどこで探せばいいですかとかです。1年生はバイトしたことがない人がほとんどなので。それと、引っ越しの相談もあります。
あとは、道案内が多いです(笑)。「N棟ってどこですか」とか。一緒に案内したこともあります。お巡りさんがやっていることみたいな感じです(笑)。ただ、そこでピアサポートのことを知ってもらったりもしていました。
困ったときに気軽に聞ける相談窓口なんですね。1年生にとっては、有難い存在だと思います。ピアサポートの活動はどのように発信されているのでしょうか。
濱島さん:ツイッターはあるんですけど、まだうまく活用できていないのが現状です。
ピアサポートルームは、ちょうど、1年生が講義を受ける建物(通称、教養棟)と図書館の間にあるので、目に付くんですよね。勉強している人がいたり、ご飯食べている人がいたりとか。ドアも開け放っていたので、覗いてもらって、声をかけてもらったりとかして、知ってもらうことが多かったですね。
今はドアも閉まっているので、やっぱり、ドアが開いていたのが大きかったですね。今思えば、あれが良かったんだと思います。
コロナ禍になって以降、大学に来る学生の数も激減しましたからね。気軽に立ち寄ってもらえなくなったのは残念ですよね。活動はどのように変わりましたか。
平山さん:前期は授業も全てオンラインだったので、ピアサポートの活動もなかったですね。後期になってからはちらほらと大学に来る学生も増えたので、今年は後期からピアサポートの活動を開始しました。9月末くらいからですかね。
活動再開といっても、ピアサポートルームを開放していたわけではないですよね。オンラインでの相談窓口ということでしょうか。
平山さん:そうですね。基本的には、メールと電話での対応のみになりますね。あとは、ツイッターで質問箱を設けています。
メールや電話では、どんな相談が寄せられているのでしょうか。
平山さん:人と会わないことによる不安とかですかね。「勉強にみんなはどれくらいついていけているのか」「自分はついていけてないんじゃないか」とか、そういう孤独からくる不安が、やっぱり多いですね。愚痴みたいなことを話してくれる人もいます。そういうことを話せることが、ピアサポの良さかなとも思います。
そういったコロナならではの相談もあるんですけど、例年通りの履修関係とか学部・学科選択の相談も多いですね。あと今は、先輩の時間割が分からない、という相談もあります。うちは「とらのまき」というものもあるので、これを何とか見せられないかと悩んでいます。
「とらのまき」とは何でしょう?
濱島さん:2年生以上と学部・学科を選択する前の1年生は講義を受ける建物も別で、基本的に交流がないので、学部・学科の時間割って全然分からないんですよね。なので、学部・学科ごとの時間割の例と、どれくらい忙しいのかと、あと、この先生は面白いとか、そういうウラ情報(笑)を添えた冊子を作って、部屋で閲覧できるようにしています。それが「とらのまき」で、いつも結構人気ですね。
現在は「とらのまき」を見られる機会はないのですか。
平山さん:今、「とらのまき」を見せられる機会は、オンラインの勉強会です。
オンラインの勉強会、良いですね!
平山さん:勉強会は、コロナで生活サイクルが乱れてしまうということで、朝に開催しています。あとはみんなの顔を見ながら勉強することで孤独感が解消すれば良いかなと。それと、ピアサポーターにも相談できるということを盛り込んだのが、この企画でした。
ただ、この企画に関しては、ツイッターでは宣伝しているんですけど、宣伝力が足りていなくて、参加者は少なかったですが、この経験を活かしてこれから新しい企画を計画していきます。コロナになって広報の大事さを痛感しています。
この記事を読んでくれた北大生、特に1年生へのメッセージをもらっても良いでしょうか。
平山さん:ピアサポができることと言ったら、しんどくなったときに相談に乗ってあげることかな、と思います。なので、課題とかがしんどかったら、連絡ちょうだい、と伝えたいですね。明文化して相談するのだと時間がかかるし、悩みも大きくなっちゃうので、モヤっとしている段階でも僕らに言ってくれたら、「それってこういうことかもしれないよね」とか「俺もそういうことあったよ」とか話ができるかもしれません。モヤっとしている段階でも良いので、ぜひ気軽に連絡して下さい、というのが僕の気持ちですね。
濱島さん:電話もメールもやっているんですけど、何でも書けるホワイトボードもあって、僕らがいる時間はピアサポートルームの前に置いておくので、気軽に書き込んでほしいです。僕らも、友達と会えないとか、集まれないとか、いつも通りの生活ができないのは、正直、寂しいときもあるし、だから、電話やメールだけじゃなくて、ピアサポツイッターのツイートにリプするとかでも良いし(笑)、いろんな形でつながっていけたら良いなと思っています。
学生相談総合センターのウェブサイトはこちら。
学生相談ピアサポートのツイッターはこちら。
電話:011‐706-5350
メール:peer-support[at]academic.hokudai.ac.jp([at]を@に変換して下さい。)
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