理系・文系にかかわらず、北大の博士課程院生への大規模な支援プロジェクトが今年度から始まりました。生活費相当額として月額 15 万円、研究費として年額40 万円が支給されます(今年度は半期のため20万円)。さらに、申請時に提出された研究計画書の審査に基づき、その他の研究費が支給される場合もあります。採用される人数は、今年度から毎年467名。今年度は博士課程在籍者全員が応募可能となっていますが、来年度からはD1学生のみ応募可能になります。
この特別な機会の応募締め切りが今週10月15日(金)17時に迫っています(本年10月入学の場合は10月22日(金)17時締切)。また、本日10月11日(月)17時より「オンライントーク説明会」が開かれます。【プロジェクト詳細はこちら】
この支援はDX(デジタルトランスフォーメーション)博士人材育成のために実施されます。プロジェクト統括の石森浩一郎さん(副学長/理学研究院 教授)は「博士課程の皆さんが今後活躍する社会では、デジタル技術が必須になり、DX人材が必要になります。ただ、DX人材がITの専門家である必要はありません。デジタル技術によって我々の生活がどう変わるのか、何を変えてほしいのか、何を変えるべきなのか。それを理解し、それぞれの専門性と融合させられる人材がDX博士人材です。DXについて詳しくないと思っている方、そのような方も本プログラムでDXについて学ぼうとする意欲があれば是非、応募してください」と語ります。
この支援プロジェクトの目的を教えてください
本プロジェクトではIT技術者やDXの専門家を養成することや、DXを直接取り入れた研究の推進を主眼にはしていません。DXはこれから生きていく上で基礎となる知識で、AIやビックデータから導き出される情報を構造化することで理解を深め、どのように社会に還元するか、それを考える能力があらゆる現場で求められています。DXを単なる技術ではなく、社会の中でもっと広い視野で考えることが重要で、それが新しい価値創造に繋がります。本プロジェクトの参加により、博士課程院生の方々にそのような意識を持っていただくことを目指しています。
文理の枠組みにとらわれない専門的人材がDX人材ということですね
世界の課題解決に貢献するためには、様々な角度から物事を見極める必要があり、博士課程修了者の皆さんが活躍する社会、Society 5.0では、あらゆる分野でデジタル技術に基づく社会変革が重要となります。
DX人材にはどのようなスキルが必要なのでしょうか
博士課程院生の方々は、これまでも研究を通して課題発見、課題解決といったトレーニングを日常的に行っており、一種のジェネリックスキルを日々磨いています。加えて、ぜひ真のDXの可能性、つまりデータ分析・活用方法を理解し、デジタル技術が皆さんの研究や専門分野、あるいは社会をどのように変革し、よりよい社会の実現ためにDXはどうあるべきか、その基礎を学んでください。そして、修了後もその知識を生かして日本のみならず世界を牽引して欲しいと切に願っています。
また、このプロジェクトに参加する博士課程院生のみなさんは、DXについて知識を深めるだけでなく、異分野の仲間と協働して学ぶ実践も貴重な経験となるでしょう。社会に出ると様々な問題に直面しますから、研究室に閉じこもるのではなく、今から世の中、社会を知るという経験は、研究と同様、とても大切なことです。
本プロジェクトの日本の研究環境にあたえる意義は
本プロジェクトでは、採用された博士課程院生の方々への生活費相当額のほか、多くの優秀な博士課程院生による研究の進展、環境整備に対して、全体で年間5億円以上の研究経費が充てられ、このような大規模な研究支援は本学の研究力強化、特に若手研究者としての博士課程院生の自由な発想をもとにした研究推進の大きな駆動力となります。さらに、高度な専門性を携えた人材のキャリアパスの拡大により、多様な分野で北海道大学博士課程修了者の活躍が広がります。
このような皆さんの活躍は、本学博士課程の大学院生のみならず、これから博士課程を目指す修士課程の院生、学部生にとっても大きな意義・希望となり、本学の大学院改革、新たな大学院教育の実現、研究力強化に直結します。この好循環を教員のみなさまにもご理解いただき、一人でも多くの博士課程院生が本プロジェクトに応募いただくようご協力いただければと思います。