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『シャトゥーン ヒグマの森』広大な天塩研究林[物語の中の北大No.30]

北海道大学天塩研究林――。
トヨタハイラックスが新雪を踏むくぐもった音だけが静かな森に響いている。林道は雪のからまった樹氷に覆われ、まるで白いチューブの中を走っているようだ。未明から降り続けた雪は二十分ほど前にやんだが、積雪は三〇センチを超えていた。

増田俊成『シャトゥーン ヒグマの森』(宝島社2007, p6)


天塩研究林は札幌から車で4時間以上、北へ約300kmの位置にあります。日本最北の大学研究施設であり、面積は約225平方キロメートル。これはほぼ大阪市と同じ広さにあたります。この天塩研究林を舞台にした小説が今回の「物語の中の北大」でご紹介する『シャトゥーン ヒグマの森』です。その他に回想シーンでは、農学部や北大生御用達のアウトドアショップ秀岳荘も登場します。

主人公はテレビ記者の土佐薫。その双子の弟は天塩研究林長で助教の土佐昭。ふたりとも北大出身で、猛禽類研究グループというサークルに入っていました。土佐が指導している小野真伊子とエスコ・バーネヤンも同じグループ出身です。12月31日、これらの人々が年越しを祝うために研究林の奥にある山小屋にあつまります。

しかし、そこに不審な男が飛び込んできます。冬眠をしていない巨大なヒグマに襲われたと・・・。電話は通じず、車も無く、研究林庁舎まで歩くと2日かかる状況。迎えが来るのは1月6日。それまでどう生き残るか?

本作は2006年の第5回『このミステリーがすごい!』大賞 優秀賞を受賞しました。この賞が示すとおり、物語は単なるパニックホラーではなく、ミステリー作品でもあります。

さて、今日で2024年の投稿は終わりとなります。良いお年をお迎えください。雪の天塩研究林を想像しながら本書を読んでの年越しも良いかもしれません。


関連する以下の記事もご覧ください。

作者は北大出身の増田俊也さんです(本書刊行時は増田俊成)。増田さんの作品『七帝柔道記』は第3回「物語の中の北大」でも紹介をしました。

冬の森を走り抜ける雪上車[FSC的フィールド風景No.1](2021.04.23)

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#34 痕跡からクマを探究する~受け継がれるクマ研の技術~(2021.12.20)

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