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#78 自らの「生き様」を確立せよ(1)~野生動物研究を通じて

あなたには、夢がありますか? 子供の頃から将来の夢や目標が定まっている、という人ばかりではないはずです。とくに進路を決めなくてはならない高校生や大学生は、常に迷い、夢中になれる何かをさがしているのではないでしょうか。野生動物獣医学の研究者である坪田敏男さん(北海道大学獣医学研究科 教授)も、そんなごく普通の学生でした。今回は、そんな坪田さんがなぜ獣医学研究に興味をもったのか、そしてどのようにして研究の道に進むことに決めたのか、お話を伺ってきました。

【清玄寺優佑・総合理系1年/西遥平・総合理系1年/森本紗世・水産学部1年】

坪田さんの研究人生を振り返る前に、まずは現在、どのような目的でどのような研究をしているのか、伺いました。

野生動物研究は人間社会と無関係ではない

坪田さんは、北海道に生息する野生の中型~大型哺乳類の生態や、人獣共通感染症などについて研究しています。特にヒグマについては、彼らの生態はもちろんのこと、人間の健康科学への応用にも興味を持っているそうです。例えば、冬眠時にヒグマは体内に大量の脂肪をため込みますが、人間と違ってそれが原因で病気になったりすることはありません。坪田さんは、そういった野生動物の体のしくみを人体に応用することで、人間の病気治療や予防につなげることができるのではないか、と考えています。

社会と共有してこその研究成果

大学外での活動にも力を入れている坪田さん。知床財団と協力して、ヒグマについてひととおり学ぶことができるグッズをひとまとめにした「トランクキット」という教材を作成しました。小中学校や博物館、動物園などに貸し出して授業に使ってもらったり、坪田さんご自身や学生が出前授業をすることもあるそうです。北海道ではヒグマという生き物がすごく身近で、北大のある札幌市にも出没することがあります。ヒグマに限らず、野生動物のごく近くに生活する北海道民にとって、野生動物についての正しい知識を持っておくことは、不必要な軋轢を避けたり自分たちの身を守るためにとても大切なことです。知識と研究成果を社会に還元することも、国立大学の使命である、と坪田さんは言います。

さて、今でこそヒグマ研究というライフワークをみつけた坪田さんですが、そのルーツはどこにあるのでしょうか。

僕のルーツは、「友」と「本」

10代の頃の坪田さんには、特に明確にやりたいことがあったわけではなかった、といいます。目標を1つに定めていたわけではなく、「のほほんと生きて」いました。そんな日々が、北大のサークル「ヒグマ研究グループ」と出会ったことで変わったのです。研究グループのメンバーは、それぞれがしっかりとした自分の考えを持ち、自分の意思で行動し、先を見据えて生きていました。そして何より情熱的でした。ヒグマの生態を研究するという一つの志をもったメンバーの「芯」の通った生き様が、坪田さんご自身の人生の方向性を決定するきっかけになったのです。

その頃、坪田さんは2冊の本に出合いました。『いのちに触れる―生と性と死の授業』(鳥山敏子・著)からは「頭と体と心をフルに使って命と向き合う」という、野生動物研究の核を、そして『竜馬がゆく』(司馬遼太郎・著)からは、やはり「芯を持って生きる」ことを学んだといいます。これについては、次回の記事で詳しく触れることにしましょう。

自らの生き様を確立せよ

「大事なのは、何か一つ、やりたいことをやるってこと。その“一つ”をはやく見つけて、頭と心と体、全部をフルに使ってやる。そうすれば、これからの人生の様々な選択の場面で、自分にあったものがおのずと決まってくる。それができれば、豊かな人生が送れるんじゃないかな。」

現場に足を運び、命を感じ、考えることで得たものが、坪田さんの一つの「芯」なのでしょう。

時間にもお金にも限りがあります。やりたいと思ったことを片っ端から思う存分やるのは、なかなか困難です。与えられた条件の中で何をすべきかを判断する必要があります。そこで何か一つ自分の「芯」を持っていれば、おのずと自分の進む道、選ぶべき道が見えてくるのだ、と坪田さんの生き様から教えていただきました。もしもこの記事を読んだあなたが将来の方針を決められずにいるのなら、自分の「芯」を探ってみてください。道が開けてくるかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※

この記事は、清玄寺優佑さん(総合理系1年)、西遥平さん(総合理系1年)、森本紗世さん(水産学部1年)が、全学教育科目「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果物です。

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2017.01.19

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