日本発の破壊的イノベーションを創出する目的で、内閣府総合科学技術・イノベーション会議は革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)を起ち上げました。ImPACTではプログラム・マネージャーが中心になって、さまざまな研究者や企業が連携し、開発プログラムを進めています。
その中のひとつ、「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」では、伊藤耕三さん(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 教授)がプログラム・マネージャーとなって、薄くて丈夫なポリマーの開発に取り組んできました。代表的な成果のひとつが、これまで25μmの厚みだったポリマーの膜を5分の1の5μmまで薄くし、同時に5倍以上の耐久性を持たせたことです。
このポリマーが実用化されることによって、軽くて衝撃に強い構造を持つクルマが作れたり、薄くて軽いタイヤを実現したり、リチウムイオン電池の容量をアップさせたりすることができます。
2018年11月17日(土)、北海道大学札幌キャンパスにて、ImPACTでの成果をひとつのプロダクトとしてお披露目する会が開かれました。プロダクトの名前は「I toP(Iron to Polymer・アイトップ)」です。アイトップは随所にImPACTの成果であるタフポリマーを用いた、電気自動車(EV)の革新的コンセプトカーで、タイヤ部分において北海道大学の研究成果が活用されています。
協力したのは、北海道大学 大学院先端生命科学研究院 先端融合科学研究部門 ソフト&ウェットマター研究室の龔 剣萍さん(ぐん・ちぇんぴん/教授)と黒川孝幸さん(教授)です。アイトップのタイヤには、お二人が提唱してきたダブルネットワーク構造を取り入れた高強度の低燃費タイヤ(開発:株式会社ブリヂストン)が取り付けられています。
今回、札幌キャンパスの中央ローン沿いを走る、アイトップの試乗会を動画で取材してきました。ぜひご覧ください。
いいね!Hokudaiでは以前に、ダブルネットワーク構造の研究紹介記事を掲載しています。詳しい内容については以下をご参照ください。
- 【フレッシュアイズ】#81 新しいバイオマテリアルを目指して!~ハイドロゲルの新たな可能性みぃつけた~(2017年07月31日)
- 【チェックイン】大泉洋さんが絶対に壊れない物体に挑戦!(2017年08月04日)