【柴垣光希│2025年度CoSTEP受講生】
皆様にご協力いただいていた「『みんなのおすすめスポット調査』大作戦!」がいったん幕を閉じます。
(過去記事「みんなのおすすめスポット調査」大作戦!~北大周辺の隠れた名所を探ります~ – いいね!Hokudai)
寄せられた声の一覧はこちらからご覧いただけます。ご協力いただいた方々、ありがとうございました。

寄せられた回答を読む中で、北大周辺のカフェがかなり充実していることを知りました。
そこでせっかくならばと企画したのが、反響の大きかった北大周辺のカフェ巡り企画でした。
北大周辺カフェ巡り ~新入生の通学路 北18条駅編~ – いいね!Hokudai
北大周辺カフェ巡り ~北12条編~ – いいね!Hokudai
このほか、北24条駅や桑園駅周辺にも魅力的なカフェをたくさん発見しましたが、今年度はご紹介しきれませんでした。ぜひ皆さんも、お時間のある時に開拓してみてください。
また、カフェ巡りで紹介したお店のうち、いくつかのお店には、さらに深堀りした特集も行いました。特集の総まとめは、本記事の末尾をご覧ください。
このように、本年度の活動の中では、カフェやコーヒーの魅力について多くの記事で紹介してきました。
では、私たちが楽しんでいるこのコーヒー文化は、これから先もずっと続いていくのでしょうか?
実は、コーヒー豆の生産量は、気候変動の影響をとても受けやすいことが知られています。
地球温暖化が進むと、コーヒー豆の生産量が大きく減ってしまう可能性があるそうで、この問題は「コーヒー2050年問題」と呼ばれています。
1年間楽しんできたコーヒー文化の存亡に関わるこの科学的な話題を、この企画最後の記事として取り上げたいと思います。

「コーヒー2050年問題」を考える
「コーヒー2050年問題」を解説した朝日新聞や株式会社キーコーヒーのWeb記事では、温暖化によって生産農場がコーヒーの生育に適した温度を保てなくなったり、病害や虫害が増加したりするなどの理由によって、将来的にコーヒー豆の生産量が大きく減るかもしれないと指摘されています1, 2。
解説記事の中で紹介されていた論文では、過去(1950〜2000年ごろ)と2050年ごろの気候条件が、それぞれどの程度コーヒー栽培に向いているかを、機械学習を活用した予測モデルを使って調べ、比較しました3。その結果を表したのが下の図です。

その結果、赤道に近い地域や標高の低い地域で特に悪影響が大きく、現在の主要な生産国であるブラジルやベトナムでは、コーヒー栽培に適した土地が大きく減ると予測されました。世界全体で見ると、2050年ごろにはその面積が約半分になる可能性があるとされています。この研究論文は、「オープンアクセス」という形式で公開されており、誰でも無料で読むことができます3。
また、気候変動がコーヒー農業システムに与える影響についてまとめた2023年の論文においても、これまでの42件の研究のうち、35件が気候変動によるコーヒー生産への悪影響を報告しているとまとめられています4。一方で、空気中の二酸化炭素が増えることで植物が育ちやすくなり、悪影響を少し打ち消す可能性があるという研究もあります5。ただし、これらの予測はすべて完璧ではなく、使われている予測モデルに一定の制約があるため、どれも完璧な予測ではないことにも注意が必要です。
さらに、多くの研究は「アラビカ種」という気候変動に弱いコーヒーについて調べていますが、比較的強いとされるロブスタ種でも、悪影響が出る可能性があることが報告されています6。
より正確な予測を行うためには、予測モデルを改良するだけでなく、農業や経済の仕組みも含めて、コーヒーを取り巻く状況全体を考える研究が必要だとされています4。
この問題に対して、「コーヒーそのものを改良しよう」という研究も進められています。
暑さや病気に強く、しかもおいしいコーヒーを作るために、新しい品種を開発しようという取り組みです。品種改良には通常とても長い時間がかかりますが、最新の遺伝子解析手法を使って、そのスピードを早めようとする研究も報告されています7。
おいしいコーヒー、そしてその1杯を楽しむための工夫が詰まった「カフェ」という空間を、2050年も当たり前のように楽しむことができるのか。
コーヒー好きの筆者としては、今後も注視していきたい問題です。
特集記事まとめ
【北大マルシェ Café & Labo】
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北大マルシェで出会う「北大牛乳」の新たな一面 – いいね!Hokudai
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【カフェdeごはん】
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【コーヒーハウス ミルク】
・訪問レポート記事
「コーヒーハウス ミルク」にて、猫とジャンボチーズトーストで満たされるひととき – いいね!Hokudai
・店主の前田さんへのインタビュー記事
50年の歴史を歩む「コーヒーハウス ミルク」が紡ぐ、フォーク、ロック、そして猫の物語 – いいね!Hokudai
参考文献
- 朝日新聞SDGs ACTION!, 「コーヒー2050年問題とは? 具体的な影響や問題の原因、事例を解説」, https://www.asahi.com/sdgs/article/15689257, 2025年04月10日, (最終閲覧日: 2026年2月20日)
- キーコーヒー株式会社, 「コーヒーの2050年問題」, https://www.keycoffee.co.jp/sustainable/2050.html?srsltid=AfmBOorE5Ig_j1xc_VX5diJNviF2lO7J36CJ8zIIk2PzUONb4zBsYS9q, FOR SUSTAINABLE COFFEE PRODUCTION コーヒーの未来に向けて(最終閲覧日: 2026年2月20日)
- Bunn, C., Läderach, P., Ovalle Rivera, O., & Kirschke, D. (2015). A bitter cup: climate change profile of global production of Arabica and Robusta coffee. Climatic Change, 129(1–2), 89–101.
- Bilen, C., El Chami, D., Mereu, V., Trabucco, A., Marras, S., & Spano, D. (2023). A systematic review on the impacts of Climate Change on coffee agrosystems. Plants, 12(1), 102.
- Verhage, F. Y. F., Anten, N. P. R., & Sentelhas, P. C. (2017). Carbon dioxide fertilization offsets negative impacts of climate change on Arabica coffee yield in Brazil. Climatic Change, 144(4), 671–685.
- Kath, J., Byrareddy, V. M., Craparo, A., Nguyen-Huy, T., Mushtaq, S., Cao, L., & Bossolasco, L. (2020). Not so robust: Robusta coffee production is highly sensitive to temperature. Global Change Biology, 26(6), 3677–3688.
- Ferrão, M. A. G., da Fonseca, A. F. A., Volpi, P. S., de Souza, L. C., Comério, M., Filho, A. C. V., Riva-Souza, E. M., Munoz, P. R., Ferrão, R. G., & Ferrão, L. F. V. (2024). Genomic-assisted breeding for climate-smart coffee.