日本時間の本日午前2時、ドイツに居住する2021年ノーベル賞受賞者への賞状とメダルの授与式が開催されました。場所はベルリンにあるマックスプランク協会ハルナックハウス。ハッセルマン・クラウスさん(マックスプランク気象研究所)とリスト・ベンジャミンさん(マックスプランク石炭研究所)の2名は、午前2時半過ぎに駐独スウェーデン大使館の大使から賞状とメダルを受け取りました。リストさんのスピーチについて簡単にお伝えします。
【梶井宏樹・CoSTEP博士研究員】
日本時間で12月8日午前2時33分に賞状とメダルを受け取ったリストさん。感慨深い顔で見つめていたメダルを置き、スマートフォンで一度話す内容を確認しながら“May I also say a few words?”と少し断った後、3分少々のスピーチが始まりました。その内容は終始感謝の気持ちが溢れるもので、リストさんは、大使、ハッセルマンさん、出席者などその場にいる全員、スウェーデン王立科学アカデミー、これまで共に仕事をされた方々、リストさんとマクミランさんの研究の後に続いて共に一大領域を切り開いた世界中の研究者たち、優れた環境を提供してくれたマックスプランク協会、そして「家庭よりも研究に情熱を注いできたこと」への理解を示してくれた家族への感謝を伝えました。
その後、叔母のニュスライン=フォルハルトさん(1995年ノーベル生理学・医学賞受賞者)がストックホルムの授賞式に連れて行ってくれた思い出話、ストックホルムでの豪華なセレモニーがないことが少し残念であることに触れつつ、一方でそれはどうしようもないことであり、「ノーベル賞は時間と空間を超える」という表現をしました。
受賞から10年以上経っても語り継がれる鈴木章名誉教授の業績や、リストさんの受賞後の北海道大学の研究者や関係者の様子を思い浮かべながら、栄誉、喜びや熱量といったものが時間と空間を超えて分かち合われ、残り続けることを指しているのかもしれないと筆者は思いました。
この解釈が合っているかはわかりません。しかし、鈴木さんの受賞をきっかけに北大の化学研究が一層盛り上がったように、リストさんの受賞をきっかけとしてICReDDや北大の研究環境や雰囲気もますます良いものになれば良いなと思います。
改めて、リストさん、2021年ノーベル化学賞受賞おめでとうございます!!
※ 授与の様子は以下のマックスプランク協会が公開しているアーカイブ動画からご覧いただけます(基本的にはドイツ語ですが、リストさんのスピーチは英語です)。
なお、この後、日本時間午後7時ちょうどより、リストさんとマクミランさんによる化学賞のノーベルレクチャーが始まります。空間を超えて、リストさんのお話を直接聞きたい方は以下よりぜひお楽しみください。
※追記:アーカイブ動画が公開されました。空間、そして時間を超えてぜひお楽しみください。
※追記・補足:授与の際、いいね!HokudaiではFacebookページから速報を行いました。その内容はこちらからご覧いただけます。このような速報やごく簡単な記事に関しては、Facebookページのみからの発信となることがあります。これを機会に、よろしければページのフォローをお願いします!
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