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2016731(日)16:00より89サイエンスカフェ札幌「働き方にも、いろいろアリ社会性昆虫に見る 組織の持続可能性~」を開催します

FIN
2016
7/31

第89回サイエンス・カフェ札幌

テーマ:働き方にも、いろいろアリ ~社会性昆虫に見る 組織の持続可能性~
日 時:2016年7月31日(日)16:00~17:30(開場:15:30)
会 場:紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5丁目7番地sapporo55ビル)
ゲスト:長谷川英祐さん(北海道大学大学院 農学研究院 准教授)
聞き手:村井 貴(北海道大学 CoSTEP 特任助教)
定 員:約80名
参加費:無料
主 催:北海道大学 高等教育推進機構 OEC 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)

イソップ物語の「アリとキリギリス」にでてくるアリは働き者。でも、本当のところはどうなのでしょうか?アリは集団を作り、女王アリの下で、それぞれの役割を担いながら働く、社会性を持った昆虫です。巣穴の中で子育てをするアリ、掃除をするアリ、外に出て食べ物を運んでくるアリ、外敵と戦うアリ。アリの働き方は千差万別です。中には、のんびりとしているだけのアリや、途中で急にせっせと働き始めるアリもいれば、一生働かないアリもいます。働くアリと、働かないアリ。その差はなぜ生まれるのでしょうか?最新の研究ではアリの組織を長期的に維持していくためには、全てのアリが常に働いている状態よりも、働かないアリがある程度いることが必要だと分かっています。進化生物学者の長谷川英祐さんと一緒に、アリたちの働き方を見ながら、組織の持続可能性について迫ります。

働き者だと思っていたアリの働く姿勢には実は「グラデーション」があります。集団の中での忙しさの程度によって、やる気スイッチが ON になりやすい者と、そうでない者が存在するのです。その差は遺伝や経験によって定められている“忙しさに対する反応のしやすさ”によって決まります。働いてばかりのアリはちょっとした忙しさにもすぐ反応してしまい、ひたすら働き続けることになり、一方で働かないアリは反応しにくく、なかなか働き始めようとはしません。その差は組織を全滅させないための機能ではないかと考えられています。

反応しやすいアリがトラブルで失われた時、組織全体の仕事は溜まり続け、忙しさが徐々に増していくと、普段は反応しなかったアリが仕事を始めます。全員がいつも目一杯働くのではなく、グラデーションを持たせることで、短期的な効率を犠牲にしても組織の全滅を防いでいるのです。見れば見るほど身につまされるその仕組み。人間社会とも比較しながら、こうしたアリの興味深い生態を紹介します。

【ゲストプロフィール】

長谷川英祐さん

進化生物学者。北海道大学大学院農学研究院准教授。動物生態学研究室所属。1961 年東京都生まれ。子どもの頃から昆虫学者を夢見る。大学時代から社会性昆虫を研究。卒業後は民間企業に 5 年間勤務。その後、東京都立大学大学院で生態学を学ぶ。主な研究分野は、昆虫における社会性の進化や、集団を作る動物の行動など。特に働かないハタラキアリの研究は大きく注目を集めている。趣味は、映画、クルマ、釣り、読書、マンガ。著書に『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー新書)『働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論』(講談社)など。

Update Date2016.7.2