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「アイデア方程式で考える未来の動物園」を開催しました

2019.5.22

令和元年5月12日フロンティア棟で、2019年度CoSTEPの開講プログラムとして、オープニングワークショップを開催しました。時代の節目になった今年は、「アイデア方程式で考える未来の動物園」というタイトルで、参加者45名とともに、動物園を通して未来を考え、表現するワークショップを行いました。企画と進行を務めたCoSTEPのスタッフ朴炫貞が、今回のワークショップを振り返ります。

ワークショップの前に、「ナラボー」

最初はアイスブレイクとして、「ナラボー」ワークを行いました。出された問いに対する答えを元に、空間に一列に並ぶワークです。誕生日順、最後に動物園に行った時間、好きな動物の寿命、大きさで並ぶワークを通して、お互い話し合って緊張をほぐしつつ、今後のワークショップで活用する空間の認識につながるワークでした。

アイデア方程式と未来の動物園の説明

そこから、ワークショップの説明が入りました。お題は、「アイデア方程式で考える2050年の未来の動物園」です。未来を考える理由、30年間の変化を踏まえて未来を予測することの大切さについての説明に続き、「アイデア方程式」の使い方、「未来の動物園」の発表の仕方に関する説明が続きました。本ワークショップは現在を課題を軸に考えてみるとのことで、SDGsの目標を軸に未来を想像することにしました。現在の課題を軸に、現在の科学技術を含んだ生活周りの言葉と、形容詞を「アイデア方程式」で四則演算してみることで、グループで考える未来の動物園に向かっての方程式が出来上がれば完成です。その上に、ブロックでその未来の動物園をジオラマで表現することも同時に行います。

封筒をくじ引きして、グループワークに入りました。封筒にはアイデア方程式をつくるために必要な四則演算の記号や動物園カード、その他生活に関わる様々な言葉が複数、複数のSDGsカードが入っています。グループではそのカードを組み合わせながら、発想を広げたりまとめたりしました。

グループによって、進め方は様々でした。

今回のワークショップの新たな試みとしては、立体的に考えることでした。ワークの後半では、立体物を使って言葉を組み立てることで企画を完成させることと、ブロックを使ってその思考に動きを入れて表現することを目指しました。

2時間のグループワークが終わり、発表の時間です。1グループにつき発表時間は3分でした。企画のアイデアも、発表方法も様々でした。

<Cool Animal>

<ワイルドライフ動物園>

<アイドルのいない男女参画動物園>

<たまごっち>

<ほっかいどうぶつえん>

<宇宙動物園>

<たべっこどうぶつえん>

<アニマル地球サミット>

発表後、各グループの企画をより近くで鑑賞し、投票をしました。

コメントと質疑に移りました。受講生からも、教員からも多様な意見交換が行われました。

ワークショップの三つの目標

本ワークショップは、CoSTEPの1年を開くオープニングワークショップとして開催しています。そのことで、三つの目的を持っていました。

まずは、ワークショップの進め方を知ることです。複数人で集まって、初対面の人がほとんどの中どう意見を出して、見える化して、どのように時間を使い、まとめていくか。そして、その流れで出たプランドどう表現して、振り返るかは、CoSTEPで学ぶにおいて基本になっています。グループワークに夢中になっている参加者の真剣な表情と笑顔をみると、共に学んでいく本科・選科・研修科が仲良くなるチャンスでも機能していたと思います。

二番目には制限することで広がる発想の練習ができることです。「アイデア方程式」や「未来の動物園」、ジオラマや発表する形式は最初ハードルとして作用する恐れもありますが、その制限の中で考えることはそこから発想を広げることと、集中する意味からは大事なツールとして機能します。ワークショップの慣れている人には、模造紙でアイデアをまとめることが一般的ですが、それをマルの紙にすることと、立体的なもので組み立てることは発想をどう配置するかによって受け入れ方が異なることが体験できます。またブロックを使うことで、3分という発表時間にどう動きを入れるかの工夫に繋がります。

最後には科学技術コミュニケーターについて考えることです。現在の課題を軸に未来を想像することは、何を残していくか、進歩しつつある科学技術で、どのように社会を培っていくかを考えるためのお題でした。このワークショップで出たアイデアをみると、多様な立場を理解すること、解決していく課題を意識すること、共に生きるための社会を描いてみることができた思います。その中で、科学技術コミュニケーターはどこで、誰に、どのように働きかければ良いか、また科学技術コミュニケーターの未来像について、時代が変わっても考え続ける必要があると思っています。

2050年の未来、動物園はどうなっているのでしょうか。科学技術コミュニケーターはどう変わっているのでしょうか。みなさんもぜひ、考えてみてはいかがでしょうか。

*このワークショップは開講特別講演の川端 裕人さんの著書『動物園から未来を変える ニューヨーク・ブロンクス動物園の展示デザイン』から、ヨシタケ シンスケさんの想像の書店の物語『あるかしら書店』などの本からも影響を受けて企画しました。