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Hokkaido Summer Insutitue「札幌の100年後を考える1」を開講しました

2023.9.1
Imagine the Future of Sapporo Through Art 1

この授業は、ユネスコ創造都市ネットワークにメディアアーツ分野で加盟することを背景に、札幌で3年に1度開催される札幌国際芸術祭とコラボレーションをして、夏の特別授業であるHokkaido Summer Insutituteの枠で実施しました。8月19日に事前レクチャー、26日と27日に集中型で進めました。札幌国際芸術祭(以下SIAF)2024のテーマはLAST SNOW。100年後の札幌を、アートを通して想像することで、「未来の地球、社会、コミュニティー、生活のための変革と創造に焦点を当てる」ことを目指します。授業には、ゲスト講師としてSIAF2024出展作家のAmy KARLEさん、Xin LIUさん、SIAF2024 ディレクターの小川秀明さん、ホストとしてCoSTEPの朴と奥本が務めました。

事前レクチャーで、授業のホストである朴と奥本による、コンテンポラリーアートや芸術祭、アート&サイエンス、アートを通したサイエンスコミュニケーションについてのレクチャーがありました。授業に期待することや、札幌に対するイメージ、コンテンポラリーアートに関する理解の違い、さまざまなバックグラウンドや興味についてお互いオンラインツールを用いて共有する時間も設けました。

オンラインツールを用いて授業資料やアイデアを共有しました

26日にはAmyさんの授業と、小川さんを交えたディスカッション、そして学生と一緒に雪の痕跡を探すことで札幌の未来を想像するワークショップを行いました。

Amy KARLEさんとの授業

Amy KARLEさんは、アメリカを拠点に活動しているアーティストです。Amyさんはデジタル技術と物理学、生物学などが融合する領域で 活躍するアーティストで、テクノロジーが私たちの未来に与える影響について 思考を促す作品を発表しています。まずAmyさんによる、ご自身の作品についての説明、その意図、自分の作品同士の関連性などについてが紹介されました。

後半からは小川さん(SIAF2024ディレクター)も参加いただき、SIAF2024のテーマであるLAST SNOWに対する話をしてもらったあと、Amyさんを出展作家に選定した理由や、作品の特徴、アート&サイエンスの可能性についてディスカッションしました。科学者との共同作業、表現の幅や方向性、多様性 – diversity – に関する質問が続きました。

27日にはXinさんの授業と、小川さんを交えたディスカッション、26日に引き続き学生と進めた札幌の未来を想像するワークショップと発表がありました。

Xin LIUさんとの授業

日本で初めての作品展示となるXinさん は、中国/イギリスを拠点に活動していて、先進的なテクノロジーと多様な素材を駆使し、宇宙や科学、時間、個人の あり方などをテーマに作品を発表するアーティストです。宇宙、ロケット、オイルなど、彼女自身のルーツや興味に関係ある幅広い場所を自分の作品フィールドにしているXinさんの作品制作に込められた考え、現在進めているリサーチについて、話を伺いました。

そこから小川さんを交え、XinさんとAmyさんが展示する未来劇場の位置付けを含めたSIAFの会場の特徴についてが紹介され、その上でXinさんの作品をめぐるディスカッションが進みました。作品の中で現れる地域性とグローバルな視点、その中のアイデンティティー、技術をメディアとして使うこと、自分の言語を持つことなど、さまざまなトピックに関する質問が続きました。

「雪の痕跡を探そう」ワークショップ

そこから、札幌の街で100年後雪がなくなったら、という想定で、学生が実際雪の痕跡を探して街を歩いて撮影した写真を用いたワークショップのプレゼンテーションがありました。地下歩行空間、街のエネルギー、動物や植物の生態系、ファッション、子どもの生活など、さまざまなテーマに目を向け、未来を想像してみることで現在の問題や今後の動きについて考える時間となりました。

小川さんは、SIAF2024について、こう語っています。

「LAST SNOW」は、このような未来に向けた創造と行動を呼びかけるものです。
私たちは、ただ未来がやってくるのを待ち、それを受け入れるだけなのか。
それとも、これをラストチャンスととらえ、未来に向けて何かを始めることができるのか。

SIAF ウェブサイトより

未来を想像することは、現在の営みを見つめ、どのように続けるかに関する方向性を決めることに通じるものです。正解を探すより、多様な意見を話し合う場としてアートと向き合い、それぞれが積極的に考えていく態度が、今には必要かと感じました。

授業に参加してくれたゲストの皆さん、学生の皆さん、ありがとうございました!今後、より詳しいレポートや、編集した授業の映像などを公開する予定です。お楽しみに!