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知的偏食を治す格好の│2025年度受講生体験記

2026.3.15

清野 和彦│2025年度 選科A(サイエンスイベント企画・運営)
参議院常任委員会専門員

私がCoSTEPを志望したわけ

国会職員として、議員からの調査依頼への対応や、議案審査のための資料づくりといった、「調べもの」を職業としています。日々の仕事の中では、科学や技術に関する事柄を避けられないことがあります。文系人間には手に負えないなどと思いつつ、どうにかこうにか対応する数多くの機会を経て、科学や技術にまつわる「上手な説明」に憧れることになりました。

その後、社会人大学院で専門家論を研究し、科学社会学や科学技術社会論にかかる文献を渉猟するうちに「科学技術コミュニケーション」と出会い、修了後は躊躇なくCoSTEPの門を叩きました。歳をとりすぎたかと思いつつ、「迷ったら楽しそうな方を選ぶ」という生き方をしてきたがゆえの結論です。

その選択は「あたり!」でした。

選科Aの集中演習

札幌に集まった受講生たちが、寝食を忘れて一つのミッション完遂に向けチーム一体となって悪戦苦闘する、集中演習の3日間。初夏の札幌という、観光には絶好の環境をよそに、北大に缶詰になって向き合う課題は「20分間のサイエンスイベントを企画し、オンライン(YouTubeライブ)で実施せよ」というものです。(実のところ、私、「YouTubeライブって何よ?」というレベルでした。)

「はじめまして」からスタートしたチームで、テーマを考え、どういった切り口で、どう表現するのかをディスカッションしながら、作業を進める。こう書いちゃうのは簡単ですが、実際には、漂流したり、座礁したりの度に指導教員の暖かい(=本当はかなり「熱め」)助言(=本当はかなり「叱咤」寄り)をいただきつつ、限られた時間と闘う濃密な3日間でした。「一日ってこんなに短いんだ」という体験に少しでも興味がある方は、実際に参加してみましょう。(奇しくも、2025年度の選科Aのテーマは「時」でした。)

多種多様な人びとと知的偏食の改善

CoSTEPに集う人びとは、多種多様、多種多彩です。

全国各地からやって来る受講生は、バックグラウンドも年齢層も様々。そういう人たちが互いにニックネームで呼び合い、フラットに交流する環境は、求めて得られるものではありません。

選科Aの班員とサイエンスイベントを作っている場面

講師を務める先生方も同じように多種多様であることは、各種受講案内などを検討していただくと一目瞭然。2025年度では、例えば「メタバース進化論」の「バーチャル美少女ねむ」さん(VTuber /作家/メタバース文化エバンジェリスト)など、普段、自分では能動的にアクセスしない多様な方々の謦咳に接することを、CoSTEPは可能にしてくれました。

これで、否が応でも知的な偏食は改善します。

また、2025年度は「アートで現代を考える」(8回)の受講が必須でした。普段、旅行先でも美術館には滅多に足を運ばない私は、この科目がなければコミュニケーションの手法にアートを取り入れることを、実感できなかったでしょう。PCのモニター越しの鑑賞でしたが、対話型鑑賞法のフレーズ「この作品の中で何が起きていますか?」「どこからそう思いますか?」「もっと発見はありますか?」は、一つの財産となり、これからも美術館で自問することになりそうです。

あっという間の10か月

CoSTEPでは、開講式を始めとする各種のイベントに限らず、毎回の講義や演習の様子など、写真撮影の機会がとっても多いことが印象的でした。今、改めて写真を眺めると、同じ受講生の皆さんに助けられながら、なんとか完走できたことが実感されます。大変だったけれど、楽しくあっという間の10か月でした。

選科A「正しさだけでいいんすか? ~ネット番組から考えるサイエンスコミュニケーション~」のメンバー