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コミュニケーション触媒であるデザインを極めたい

2010.2.25

私はいま、CoSTEPでの経験を生かして、医科大学で双方向型のコミュニケーションを教える教育プログラムのスタッフとして働いていますが、もともとは保健師として保健センターに勤務していました。地域住民の方々に、病気やその予防について伝えたり、育児相談にのったりという業務に携わるなかで、医療や健康に関する知識・情報を正しく理解していただき、相談に来られた住民の方に満足してもらえるコミュニケーションをとることは難しいと感じていました。保健センターの業務で知識・情報をわかりやすく伝えるためパンフレットを作って手渡したりもしていましたので、自分にも印刷物・配布物をきれいに美しく作れるスキルがあったら……そんな思いをずっと抱いていました。
幸いなことにCoSTEP受講の機会を得ることができ、実習では迷わずグラフィック・デザインを選択しました。実習では、CoSTEPが毎月開いているサイエンス・カフェのチラシを制作しました。はじめは素人の自分が作ったデザインが印刷されて何千枚と世に出回ることに不安と緊張を覚えましたが、やがてそれが喜びにつながり、よりよいものを作りたい一心で制作に臨みました。
実習での最大の収穫は、相手が何を望んでいるか、相手にどのように伝わるのか、相手の立場に立って考える訓練ができたことです。相手への気遣いを忘れないことの大切さを学ぶことができました。この相手を想う気持ちは、看護の世界に通じますし、人と人とのかかわりで成り立つ社会生活一般に不可欠な視点だともいえます。
実習を含む1年間のカリキュラムを修了して、今は充実感でいっぱいです。まだまだひとりよがりとなりがちですが、今後も、医療の知識を活かしつつ、視覚に訴えるわかりやすいデザインを目指してがんばります。

本科生修了/岸浪 典子
保健師、現在・札幌医科大学現代GP「双方向型医療コミュニケーション教育の展開」スタッフ