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ファシリテーション演習を実施しました

2017.9.12

秋の気配が濃厚になっていく重陽の節句の9月9日に、ファリテーション演習を実施しました。28名の参加者の中には、道外からきた受講生も4名含まれています。講師は酒井麻里先生(日本ファシリテーション協会理事 副会長)です。IAF(International Association of Facilitators)のCPF(Certified Professonal Facilitator)の資格も持っていらっしゃいます。酒井先生には、演習と同日に設定した「プロジェクトマネジメントの基本的な考え方」の講義も担当していただきました。プロジェクトマネジメントとファシリテーションは、プロジェクトを円滑に遂行し成果を上げるために、科学技術コミュニケーターが身につけるべきスキルだといえるでしょう。この二つを同日に集中的に学ぶことでより理解を深めることができます。

アイスブレイク:自己紹介とゲーム

演習は4人ずつの7班に分かれて行います。まずは、同じ班になったメンバーの自己紹介からスタートです。1)名前、2)ファシリテーションの知識・経験を3段階で自己評価し、3)その理由を挙げます、そして4)今日学びたいこと、体験したいことを、A4サイズの紙にまとめます。この紙は、三角にまとめておいておくと、名札にもなります。自己紹介にも工夫が組み込まれています。

次に、チームの結束力を高めるために「グループで「ファシリテーション」から想起される漢字を、3分でできるだけたくさんだす」連想ゲームを行いました。書記を決めて書くチーム、それぞれ話し合って書くチーム、プロセスは様々です。多いチームは、3分で45以上の漢字が挙がりました。「標」「迷」「柔」「愛」…思わず上がる歓声とはじける笑顔、初めて会ったメンバーの距離もぐっと縮まりました。

ファシリテーションとは

次に、ファシリテーションについての簡単なレクチャーが行われました。ファシリテーションは、easy の語源にあたるラテン語の facil に拠っています。人々の活動が容易にできるように支援することを指します。ファシリテーションの効果として、1)チームの相乗効果を発揮させること、2)メンバーの自律性を育むこと、3)学習するスピードを高めることがあります。多様な考えを持った人が、自分の考えを伝え、当事者意識を高めつつ、意見交換することで、チームの成果だけではなく個人の学びが高まるのです。

ファシリテーションを進めるためには4つのスキルが求められます。場を作りつなげる「場のデザインのスキル」、意見を受け止め・引き出す「対人関係のスキル」、主張を明確にして整理する「構造化のスキル」、結論をまとめて分かち合う「合意形成のスキル」です。今回の演習では4つのスキルのうち「場のデザインのスキル」と「対人関係のスキル」を主に扱います。

場のデザインのスキル

場のデザインのスキルを構成する5つの要素として、目的、目標、ルール、プロセス、メンバーを紹介してもらいました。さらに、プロセス・デザインや、場の空間デザイン、発散と収束の議論の進め方のレクチャーを受けて、受講生からも「ダイアローグ(対話)とディスカッション(議論)」を分けることや、構造化のコツ、ファシリテーターの意見調整の仕方について、熱心な質疑応答が行われました。その後に、場のデザインを構成する5つの要素に基づいて「自分の開催したいワークショップをデザイン」するミニワークを行いました。

対人関係のスキル

対人関係のスキルは、意見を受け止め安心感を与える「聴く力」、意見を引き出し広げる「訊く力」、言外の考えを「観る力」、そして意見に対してやわらかい主張で方向づける「応える力」の4つがあります。レクチャーの後は「科学技術コミュニケーション活動をする上で「必要なモノ・コト」をできるだけ挙げる」ミニワークを行いました。意見を引き出す「訊く力」を、実践を通じて学んでいきます。ワーク後に、発散のファシリテーションのポイントとして、どんどんアイディアをだすテンポと、意見を出やすくする雰囲気についてコメントがありました。

酒井さんはファシリテーターの5つの心得として、常に「なぜ」と問いかけること、プロセスを見ること、安心安全な場を確保すること、中立であること、参加者の相互作用を信じること、を挙げました。これから科学技術コミュニケーターとしてファシリテーションに関わることになるときに、思い出すこともあるのではないでしょうか。

科学技術コミュニケーションとは?

レクチャーの後はいよいよグループワークです。お題は「科学技術コミュニケーションとは?」です。この問いは今年度の開講式の講義にも繋がっています。グループワークの目的は「酒井さんに科学技術コミュニケーションについて伝える」ために「模造紙に内容をまとめる」ことです。30分の短い時間で、熱心なディスカッションが行われました。成果物について、それぞれのグループが2分で発表を行いました。このワークを通じて「科学技術コミュニケーション」についての内省が深まったのではないでしょうか。

参加した受講生のみなさん、そして講師の酒井先生ありがとうございました。