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会えないことはハンデじゃない ~選科Aミッションとは?

2019.3.29

私は以前から、 野生動物と人間の問題、特に人間とクマとの間に起きる軋轢を減らすことに興味を持っていました。いろいろなことを調べるのは得意な私です。しかし、自分で調べたことをひとりで情報発信するだけでは、社会の問題は解決できないという限界も感じていました。そこで私は、科学技術を通じて他者と関わるためのコミュニケーションについて学ぶためにCoSTEPを受講することにしました。

私が選んだのは、札幌キャンパスに通わなくでも受講が可能な選科です。e-Learningでの講義は、自分の都合に合わせて好きなタイミングで受講できるのはとても便利な一方で、インターネットを通じたオンラインによるコミュニケーションが中心である選科での人間関係の希薄さを物足りないと感じることもありました。SNSの受講者グループで時おり発信される本科生の楽しげな様子を見るたびに、札幌での活動にはなかなか参加できない選科生のもどかしさを感じていたのも事実です。

しかし、CoSTEPでの学びの集大成である修了式の準備に取り組んでいるうちに、私の意識に大きな変化が起きました。

それぞれ遠く離れたところからCoSTEPを受講している選科生ですから、修了式の準備もオンラインによるコミュニケーションを通じて進める必要があります。そのために私たちは、FacebookグループやGoogle Driveといったオンラインツールを活用して、意見交換を行い、共同で作業を進めてきました。このような遠隔共同作業の進め方は、私たちが選科A集中演習の事前準備や、演習後の振り返り、活動報告の作成などを通じて学んできたものです。選科A集中演習と言えば、3日間のスクーリングだけでミニサイエンスイベントを作っているように思われがちですが、実はその前後にオンラインで討論している時間の方がずっと長いのです。私自身の1年を振り返ってみると、CoSTEPの学びの中で、この遠隔共同作業にかけた時間が最も長かったかもしれません。

私たち選科A受講生が直接顔を合わせるのは、1年の中でわずか数日しかありません。しかし、遠隔共同作業を通じて、さまざまな成果物を一緒に作り上げてきた受講生同士のつながりは、ほんの少ししか会ったことがないとは思えないぐらい深いものです。遠く離れて会えない人同士が、インターネットでのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、お互いの個性を生かして課題の解決に取り組むこと。それこそが、選科A受講生に課せられた『裏ミッション』だったのではないか、私はそう感じています。

選科Aの裏ミッションをクリアした私たち修了生にとって、直接会えないことはもはやハンデではありません。オンラインでのコミュニケーションを通じた協働という新しい武器を手にをした私たちは、これからも遠く離れた人たちと手を取り合い、さまざまな課題を共に乗り越えていけると、私は信じています。

浪花彰彦(選科A)

Bear Smart Japan 代表