第78回サイエンス・カフェ札幌
「つめたい海が氷をとかす ~南極の海流と気候変動~」
日 時:2014年11月23日(日)16:00~17:30(開場15:30)
場 所:紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン
(札幌市中央区北5条西5丁目7番 sapporo55ビル)
ゲスト:青木 茂さん
(北海道大学低温科学研究所准教授/海洋物理学)
参加費:無料。当日会場にお越しください。
定 員:80名
主 催:北海道大学CoSTEP
気候変動についてのニュースを耳にするとき、地球の気温上昇についてしばしば語られますが、大気の下の海がどんな役割をしているか、考えたことはありますか。世界の海は「深層循環」と呼ばれる大きな流れによって互いにつながり、地球全体の気候に影響を及ぼしています。その起点のひとつが南極です。南極の海の流れを調べれば、深層循環がいまどのような状況にあり、さらには将来の気候がどのようになるかまでもが見えてくるのです。
ゲストの青木茂さんは、南極に関して海洋観測および研究を行っています。具体的には、南極海の周辺でさまざまな水のサンプルを採集し、海水に含まれる塩分や酸素の同位体比を測定しています。気候変動について適切に評価するためには、気温だけでなく海水の成分や熱の動きを観測することも必要なのです。こうした調査・研究によって、南極氷床と海流の変化の関係が明らかになり、南極周辺だけでなく地球全体の長期的な変動の解明につながることが期待されます。
また青木さんが主執筆者の1人として関わった、「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第5次評価報告書の統合報告書が今年10月に発表されます。今回のカフェでは、いま「ホット」な気候変動と南極海の関わりについてわかりやすく語っていただきます。地球規模の大きな流れと変化について、ゲストと一緒に考えてみませんか。
プロフィール:
1966年生まれ、東京都出身。北海道大学低温科学研究所准教授。博士(理学)。専門は海洋物理学、極域海洋学。日本学術振興会特別研究員を経て、国立極地研究所南極圏環境モニタリング研究センターにて助手として勤務。2003年より現職。1997年に日本南極地域観測隊に参加して以来、7回の南極観測航海経験をもつ。2010年からIPCC第5次評価報告書に主執筆者として参加。気候変動の南極海への影響に関して執筆を行った。 主な著書に『南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議』(C&R研究所)がある。趣味は南極の切手収集。昨年、タスマニア島を訪れたときにトレッキングの楽しさに目覚める。