9月27日、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論学会が共同で、サッポロファクトリー内のイベントスペースを会場に、シンポジウムを開催しました。
テーマは「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」
藤垣裕子氏(科学技術社会論学会 会長)の開会の挨拶で始まりました。
「テーマは、いまIPCC進んでいる議論とも関係する、とてもタイムリーなものです。また論点も、“科学的知見と価値との関係”や、“どこまでが専門家が決めるべきことで市民が決めるべきことは何か”など、学会で盛んに議論してきた論点ですので、きょうここでの議論を楽しみにしています。」
哲学者、科学者、社会学者が「闘論」
パネリストは、松王政浩、江守正多、三上直之の3氏。それぞれ、哲学者、科学者、社会学者としての立場から論を展開して頂きました。
皮切りは、哲学者の松王氏。「リスクアセスメント(事実判断)とリスクマネジメント(価値判断)を分離することができるのか」「温暖化をテーマにWWViews(市民参加の一手法)を実施して何かが変わったのか?」など、江守氏、三上氏それぞれに問題提起。前半の1時間は、両氏がこれに応答する形で議論が進みました。
休憩を挟んで後半は、「これまでの議論では“地球温暖化問題に固有な論点”が出ていない」という江守氏の発言を承け、松王氏、三上氏が応答する形で出発。3氏入り混じれて、真摯な議論が続きました。
「ガイドブック」を事前に準備
今回のシンポジウムでは、事前に「ガイドブック」をウエブサイトに用意しました。予想される論点を事前に整理し、参加者に基本的な情報を共有していただくためです。
その「ガイドブック」をどのくらい事前に読んだか、休憩時間を利用し、4つの選択肢から選んで回答していただきました(休憩時間中なので、総数45と、参加者数に一致しません)。
1.読んでいない 5名
2.一部読んだ 11名
3.全部読んだ 17名
4.ガイドブックだけでなく、リンク先の情報も含めて読んだ 12名
Ustreamで中継も
シンポジウム会場においでくださった方は、道外からの方も含め、63名。
その一方で、会場にお越し頂けない方々のためにUstreamでの中継を行ないましたので、インターネット経由でご参加くださった方も。延べ100名以上の方々が、Ustreamでご参加くださいました。
中継したときの映像は、いまも「シンポジウムのウエブページ」でご覧になることができます。
知の饗宴めざして
シンポジウムとは、"to drink together"を意味するギリシア語sympineinに由来する語です。宴会に集まった人々が、司会者のリードのもと問答を繰り返して論点を絞り込んでいく、哲学者プラトンの著作『饗宴』(symposium)にならい、“ワインやビールを片手に議論する”というスタイルを取り入れました。
2時間のシンポジウムが終わった後に、さらに30分間、フリートーク&ドリンクの時間を設定。参加者が思い思いにパネリストの3氏を囲み、議論を続けました。