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考え続けた1年、見えてきた自分の│2025年度受講生体験記

2026.3.15

木ノ下 りとみ│2025年度 選科C(インフォグラフィック制作)
北海道大学理学院自然史科学専攻 修士1年

受講のきっかけ

私は学部4年生から地球科学の研究をしており、次第に科学と社会の関係に興味を持ちました。今後研究を続けるにあたり、自分の研究と社会の関係を考えるため、両者の接点を作るため、そしてそれらに必要なサイエンスコミュニケーションを専門的に学ぶため受講を決めました。

本科を受講したかったのですが、本科の必修演習が研究室のゼミの時間帯と被っていたため選科を選択しました。そして、将来自身の研究を発信する際に必要になるグラフィック制作技術を学びたいと思い、選科Cを選びました。

3日間の集中演習

集中演習では講義やミニワークを行いつつ、各自が設定したテーマに基づき一枚のインフォグラフィックを制作しました。1日目は誰に何を何のために伝えるのかテキストで考えることで手一杯でした。2日目はテキスト化が行き詰まったため頭に溜まっていたデザインのアイデアを書き出しながら作業しました。講義中に「市民は研究の過程よりも、その動機や意義に関心を持つ」というような話を聞き、テキストがようやく固まりました。それと同時にどの軸を中心にしてデザインするかが固まったため、やっとデザインも固まりました。3日目は今ある情報をもとにいかに正確に誤解のないように伝えるかを意識しながら完成度を高めました。自分では90%くらいできたかなと思っても先生に見てもらうと50%くらいの出来だったということが何度かあったため、簡単に自分の制作物に満足せず検討を重ねることが重要であると気づきました。当時はもうこれ以上はできないと思えるものを作りましたが、今それを見るとより良いものを作れる気がします。時間をおいてから再確認することの大切さと、最高だと思っていたものに改善点を見出せるようになった点に自身の成長を感じました。

貴重な出会い

CoSTEPでは多くの出会いがありました。特に、様々な分野の社会人との出会いは学生の私にとって貴重な経験になりました。グループワークでの社会人ならではのテクニックや講義後の質問の鋭さなどに圧倒されながらも積極的に吸収しました。また、過年度受講生とも親交を深め、多方面に人脈が広がったことは私の今後の活動にとって大きな礎です。

1年の学びを振り返って

講義や演習でサイエンスコミュニケーションの難しさを知り、それを踏まえて自分がどう実践するか考え続けた1年でした。受講前は、サイエンスコミュニケーションを研究者が科学の魅力や意義を伝えるための営みとして捉えていました。しかしCoSTEPを通じ、平時のリスクコミュニケーションや市民による科学の監視など、その多層性を知りました。そうした広がりの中で、研究者を志す一方、専門外では一市民でもある自分の二面性を生かした活動ができると気づいたことが、この1年の最も大きな収穫です。この学びを基に、今後は研究者と市民の間を自在に行き来するサイエンスコミュニケーターとして活動を続けていきたいです。

何か一つでも気になる講義・演習があれば、受講することをおすすめします。受講前には見えていなかった景色が、きっと広がります。